映画『キングダム 運命の炎』、大ヒットしましたね!
壮大なスケールと胸を熱くするドラマに感動した方が多い一方、ネット上では「ひどい」「正直、面白くなかった」という厳しい声も…。
「最高だったのに、一体なぜ?」
この記事では、そんなあなたの疑問にズバリお答えします!
本作が賛否両論を呼ぶ理由、それは「続編ありきの終わり方」だけではありません。
物語の鍵を握る重要死亡キャラの衝撃的な扱い、公式の年齢制限(G指定)が信じられないほどの過酷な描写、そして結末の重大なネタバレに繋がる構成の問題など、様々な要因が複雑に絡み合っているのです。
この記事を読めば、なぜ『キングダム 運命の炎』が「ひどい」とまで言われてしまうのか、その全ての理由がスッキリと分かります。
※注意:本記事は、物語の結末を含む重大なネタバレを徹底的に解説しています。未鑑賞の方は、ぜひ映画をご覧になった後にお楽しみください。
映画『キングダム 運命の炎』がひどいと言われる構成上の理由

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まず、本作への批判の多くが、作品の「中身」そのものというよりは、映画の「作り方」や「見せ方」、つまり構成に向けられていることが多いんです。
多くの観客が感じたモヤモヤの正体を、一つずつ見ていきましょう。
消化不良で面白くない?続編ありきの結末に批判が殺到
本作を見て、おそらく誰もが劇場で同じことを思ったのではないでしょうか。
「えっ、ここで終わるの!?」
これこそが、「ひどい」「面白くない」という感想が生まれる最大の理由と言っても過言ではありません。
本作で描かれるのは、原作でも屈指の人気を誇る「馬陽(ばよう)の戦い」。
しかし、映画はその戦いのクライマックスを迎える直前、まさにこれから!という最高潮の場面で、プツリと幕を閉じてしまうのです。
強敵である趙国の将軍・馮忌(ふうき)を討ち取るという大きな見せ場はあるものの、その直後に現れる新たな脅威、そして謎の軍師・李牧(りぼく)の不気味な存在感…。
観客の興奮と期待がMAXに達したところで「続く」の文字が映し出された瞬間、「これはひどい」「2時間の長い予告編を見せられた気分だ」という不満が噴出するのも無理はありません。
もちろん、壮大な原作を数本の映画に分けて描くシリーズ作品では、こうした手法は珍しくありません。
しかし、『キングダム』は1作目、2作目と、それぞれで一つの大きな戦いにしっかりと区切りをつけてきました。
そのテンポ感に慣れていたファンにとって、今作の「戦のど真ん中で終わる」という構成は、明らかな消化不良感と、「早く次を見せろ!」という焦燥感、そして「うまく乗せられたな…」という少しばかりの悔しさを感じさせるものだったのです。
物語のテンポを損なう?感動的だが長すぎると賛否両論の「紫夏編」

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本作のもう一つの大きな特徴は、嬴政(えいせい)の壮絶な過去を描く「紫夏編(しかへん)」と、信(しん)が戦う現在の「馬陽の戦い」という、二つのエピソードで構成されている点です。
先に断言しておくと、「紫夏編」は本当に素晴らしいエピソードです。
杏さんが演じた紫夏の慈愛に満ちた姿と、若き嬴政の心の叫びには、劇場ですすり泣く声があちこちから聞こえてきました。
嬴政がなぜ中華統一を目指すのか、その原点を描く上で絶対に欠かせない、物語の魂とも言えるパートです。
しかし、その一方で、この構成が物語のテンポを大きく左右したことも事実です。
映画は信たちが戦う「馬陽の戦い」でスリリングに始まりますが、途中でこの「紫夏編」という、約1時間に及ぶ長大な回想シーンが挿入されます。
アクション全開の戦場から、静かで重厚な人間ドラマへ。この急激なトーンとスピードの変化に、「物語の流れが断ち切られたように感じた」「合戦シーンをもっと見たかったのに、だれてしまった」と感じる観客がいたのも頷けます。
特に、信と飛信隊の活躍を心待ちにしていたファンにとっては、感動的ではあるものの、「少し長すぎるのでは?」という印象を抱かせたかもしれません。
原作ファンが激怒?カットされた戦術描写とキャラクターのやり取り

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大人気漫画が原作だからこそ、ファンが抱くキャラクターや物語への愛情は計り知れません。
『キングダム』シリーズは、その再現度の高さで多くの原作ファンを唸らせてきましたが、物語のスケールが大きくなるにつれ、時間的制約による描写の省略が目立つようになってきました。
特に「馬陽の戦い」は、原作では数巻にわたって、敵味方の将軍たちによる緻密な戦略の応酬や、飛信隊の仲間たちの細かな活躍が描かれます。
例えば、信が仲間たちに向けて結束を誓う重要なセリフや、王騎軍の軍長たちの個性的なキャラクター描写など、映画では泣く泣くカットされた部分が少なくありません。
映画という媒体の特性上、省略は仕方のないこと。
しかし、原作の細かな描写の一つ一つを愛するファンにとっては、それが「物足りなさ」や「解釈違い」に繋がり、「これじゃない」という厳しい評価の一因となったようです。
「個々の戦いは迫力があったけど、戦全体を動かす軍略の面白さが減ってしまった」という声は、まさに原作ファンならではの視点と言えるでしょう。
2時間の壮大な予告編?商業的な手法への厳しい意見
先ほどの「結末」の問題とも関連しますが、こうした構成に対して、「あまりに商業的すぎるのではないか」という批判的な意見も多く見られました。
「どうせ次も見に来るだろう」という製作側の意図が透けて見える、と感じた一部の観客は、作品内容そのものよりも、その提供方法に対して強い不満を抱いたようです。
「分割するのは構わないが、もう少しキリの良いところで区切ってほしかった」「ファン心理を利用した商法がひどい」といった声は、作品への期待値が高かったからこその、愛憎半ばする意見なのかもしれません。
描写がひどい?『キングダム 運命の炎』の衝撃的な内容と結末【ネタバレあり】

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さて、ここからは物語の核心に深く触れていきます。
構成だけでなく、その「中身」についても、「描写が過激すぎる」「展開が衝撃的」といった声が上がっています。
まだ映画をご覧になっていない方は、ここで引き返すことを強くお勧めします!
子供には見せられない?年齢制限(G指定)以上に過酷な暴力とトラウマ描写
驚くことに、本作の公式な年齢制限(レイティング)は、誰でも鑑賞できる「G指定」です。
しかし、実際に映画を見た人からは、「え、これ本当にG指定でいいの!?」という声が数多く上がりました。
その理由は二つあります。
一つは、言わずもがな「合戦の暴力描写」。
剣で斬り結び、血しぶきが舞い、兵士たちが次々と命を落としていく。
その描写は非常にリアルで、戦争の悲惨さをダイレクトに伝えてきます。
そしてもう一つ、それ以上に多くの観客に衝撃を与えたのが、「紫夏編」で描かれる子供への虐待です。
少年時代の嬴政が、趙国の大人たちから日常的に殴られ、蹴られ、泥水を飲まされる。
その陰湿で残酷な描写は、目を覆いたくなるほどです。
物理的な痛み以上に、彼の心が殺されていく過程が丁寧に描かれるため、精神的に非常に重く、大人でも強い痛みを感じます。
公式には全年齢対象ですが、お子さんの感受性によっては強い恐怖やトラウマを感じる可能性もゼロではありません。
もしご家族で鑑賞を考える場合は、こうしたヘビーな描写があることを念頭に置き、鑑賞後にしっかり話し合ってあげることが大切かもしれませんね。
物語の核となる主要死亡キャラとその壮絶な最期
本作では、二人の重要なキャラクターが命を落とし、それが物語を大きく動かします。
一人は、趙国の将軍・馮忌(ふうき)。
彼は王騎も認める知将でしたが、信と飛信隊の常識外れの突撃によって討ち取られます。
この功績は、信が単なる歩兵から「将軍を討ち取れる存在」へと覚醒し、飛信隊の名を中華に轟かせる、非常に重要なターニングポイントとなりました。
そして、もう一人が紫夏(しか)です。
彼女は、趙国で光を失っていた嬴政を、文字通り命がけで救い出した恩人。
追手から嬴政を守り、致命傷を負いながらも、最後の力を振り絞って彼を秦国へと送り届けます。
彼女の死は、嬴政の中に「中華統一」という決して消えることのない「運命の炎」を灯しました。
彼女の死なくして、キングダムの物語は始まらなかったのです。
嬴政の原点・紫夏編のあらすじと涙なくしては見られないラスト

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「紫夏編」は、嬴政がなぜ冷徹なまでに中華統一にこだわるのか、その理由を描いた物語です。
趙国で虐待され、心を閉ざした嬴政に、闇商人の紫夏は人間としての温かさと希望を教えます。
彼女とその仲間たちは、たった一人の少年を救うため、国を相手に無謀な脱出劇を繰り広げます。
仲間が次々と倒れ、自らも深手を負った紫夏。国境を目前にした彼女が、腕の中で震える嬴政にかけた最後の言葉は、あまりにも有名です。
「あなたの行く道が、光に満ち溢れていますように」
自らの命と引き換えに、未来の王に光を託した紫夏の自己犠牲。
このシーンは、本作で最も感動的で、最も悲しい場面として、多くの観客の涙を誘いました。
最悪のバッドエンド?龐煖登場で迎える絶望的なクリフハンガー
馮忌を討ち取り、勝利に沸く秦軍。
しかし、そのカタルシスは一瞬で打ち砕かれます。
突如、戦場に現れたのは、謎の軍師・李牧が率いる、さらに強大な趙軍。
そして、秦軍の前に立ちはだかったのが、自らを「武神」と名乗る、規格外の武力を持つ男・龐煖(ほうけん)です。
兵士たちを赤子のように蹴散らすその姿は、まさに絶望の象徴。
さらに、その龐煖こそ、かつて王騎の最愛の人・摎(きょう)を殺した因縁の宿敵であることが判明します。
長年の宿敵を前に、王騎が静かに怒りを燃やし、自ら戦場に降り立とうとした、まさにその瞬間、映画は終わります。
希望が見えた直後に、それを遥かに上回る絶望の淵に叩き落とされるという、まさに最悪のバッドエンド(クリフハンガー)なのです。
【総括】キングダム 運命の炎が「ひどい」と評される理由を徹底考察
ここまで見てきたように、『キングダム 運命の炎』が「ひどい」と評される背景には、様々な理由が複雑に絡み合っています。
- 消化不良で終わるクリフハンガーな結末
- 物語のテンポを分断する構成
- 原作からの描写の省略
- 続編ありきの商業的な手法への反発
- G指定とは思えない過酷で衝撃的な内容
しかし、重要なのは、これらの批判のほとんどが、この『キングダム』という作品に対する、とてつもなく大きな期待と深い愛情の裏返しであるということです。
中途半端なもので満足できない、キャラクターや物語を心から愛しているからこそ、許せない部分がある。
そうしたファンの熱い想いが、「ひどい」という強い言葉になって現れたのかもしれません。
もちろん、それを差し引いても、本作が日本のエンターテインメント史に残る傑作であることは間違いありません。