ジブリ不朽の名作『千と千尋の神隠し』。
物語の舞台となる「油屋」には、八百万の神々が集い、数え切れないほど多くの不思議な神様や生き物が登場します。その造形の深さは、公開から20年以上経った今でも多くのファンを魅了してやみません。
映画を観ていて、「あの緑のだるまみたいなのは何?」「エレベーターに乗っていた大根みたいなやつは?」と、気になるキャラクターの名前が分からず、モヤモヤした経験はありませんか?
今回は、見た目の特徴から正体を特定できるよう、図鑑形式で詳しくご紹介します。これを読めば、次に映画を観る時の解像度がぐっと上がるはずです。
1. インパクト抜群!「緑の頭」や「顔三つ」の正体

湯婆婆の部屋に転がっている、あの緑の頭だけの不気味なキャラクター。初見ではそのシュールな姿に驚いた方も多いでしょう。
名前:カシラ
特徴:緑色をした大きな生首の姿で、常に3体(顔三つ)で行動しています。特定の胴体は持たず、跳ねるように移動するのが特徴です。言葉を話すことはありませんが、「おい、おい」という低い鳴き声のような音を発し、湯婆婆の側近(あるいはペット)のような立ち位置にいます。
劇中での重要な役割
物語の後半、銭婆の魔法によってネズミの姿に変えられたボーちゃんと姿を入れ替えられてしまいます。湯婆婆ですら、しばらくの間その正体に気づかなかったほど、魔法による変装は完璧でした。不気味な見た目ですが、物語のコメディリリーフ的な役割も担っています。
2. エレベーターの「白いやつ」大根みたいなやつ

千尋がリンと一緒にエレベーターに乗った際、気まずそうに後ろに立っていた白いやつ。その圧倒的な存在感に目を奪われた読者も多いはずです。
| 通称 | 正式名称 | モデル・由来 |
|---|---|---|
| 大根みたいなやつ | おしらさま | 東北地方の農業の神様 |
名前:おしらさま
大きな大根の神様で、ふくよかな体型と、逆さまにした盃のような帽子が特徴です。見た目はまさに大根みたいなやつですが、実は東北地方などで古くから信仰されている実在の神様がモデルとなっています。
千尋が困っている時にさりげなく隠してくれたり、エレベーターで一緒になったりと、油屋の中でも非常に穏やかで優しい神様として描かれています。SNSでは「推しキャラ」として挙げるファンも多い、癒やし系キャラクターの代表格です。
3. 「顔だけ」「黒い影」…カオナシのバリエーション

本作の象徴とも言える、顔だけがお面のように浮いている黒いやつ。カオナシは物語の展開によってその姿を大きく変えていきます。
カオナシの形態変化
- 初期:最初は透けた黒い影のような姿で橋に立っていました。存在感が薄く、誰にも気づかれないような孤独な存在です。
- 暴走期:油屋の従業員を飲み込み、肥大化した姿。飲み込んだ相手の声を使って喋り、砂金を出すことで周囲の関心を引こうとしました。
- 浄化後:銭婆の家でケーキを食べたり、編み物を手伝ったりする穏やかな姿。本来の「自分」を見つけたような静かな佇まいを見せます。
カオナシは「現代人の孤独」を投影しているとも言われており、非常にメッセージ性の強いキャラクターです。
4. 温泉に入っている「ひよこ」の神様

黄色くてふわふわした、お風呂に一列に並んで浸かっているひよこの群れ。彼らの名前を一度は検索したことがあるのではないでしょうか。
名前:オオトリ様
「ひよこ 名前」で検索されることが多い彼らは、実は「卵のまま食用にされ、生まれてくることができなかったヒヨコが神様になった存在だという説もあります。劇中では、泥にまみれた河の神様が来た際にも、一斉に風呂桶から身を乗り出して歓迎するような愛らしい姿を見せてくれます。その背景を知ると、少し切なく、それでいて愛おしく感じられるキャラクターです。
5. ボイラー室の「じいさん」と働く人々

千尋が油屋で生きていくために、最初に仕事を求めて訪れた場所がボイラー室です。そこに鎮座する主もまた、忘れられないインパクトがあります。
名前:釜爺(かまじい)
特徴:手足が自由自在に伸び、クモのような姿をしているので「くもじい」と呼ばれることもあります。一見すると気難しそうで怖いじいさんに見えますが、実は千尋に切符を渡したり、傷ついたハクを介抱したりと、誰よりも情に厚いキャラクターです。
油屋を支えるその他のキャラクター
- 湯女(ゆな):油屋で客の世話を担当する女性たち。リンもその一人で、江戸時代の温泉宿で働いていた女性たちがモチーフになっています。
- ヤモリ(イモリ):釜爺が好んで食べる「イモリの黒焼き」として登場。カエルたちを誘惑するほどの強い匂いと魔力(?)を持つ、劇中のキーアイテムです。
6. 「ネズミ」と「ボーちゃん」の意外な関係

湯婆婆に溺愛され、外の世界を怖がっていた巨大な赤ん坊。
名前:坊(ぼう)
湯婆婆からは「ボーちゃん」と呼ばれ、過保護に育てられていました。しかし、銭婆の魔術によって小さなネズミに変えられた姿(坊ネズミ)になったことで、彼の冒険が始まります。千尋の肩に乗って沼の底まで旅をする中で、自らの足で立つ強さを学び、精神的に大きく成長していく姿は、本作の裏の主役とも言えるでしょう。
【番外編】「リサ」という名前のキャラクターはいる?
ネット検索で「千と千尋の神隠し リサ」というワードが出てくることがありますが、結論から言うと、本作にリサというキャラは登場しません。
リサは同じジブリ作品の『崖の上のポニョ』に登場する宗介のお母さんです。テキパキと動く性格や髪型が、本作の「リン」や千尋の母親と一部重なる部分があるため、記憶が混ざってしまう方が多いようです。こういった作品を跨いだ「勘違い」が生まれるのも、ジブリキャラクターが私たちの記憶に深く根付いている証拠かもしれませんね。
まとめ:個性豊かなキャラクターたちが作る世界

『千と千尋の神隠し』には、名前を奪われることで支配される恐怖が描かれていますが、同時に私たち観客にとっては、名前を知ることでそのキャラクターがより身近に感じられるようになります。
次に映画を観る時は、ぜひ「あの大根の神様はおしらさまだ!」「あの顔三つはカシラだったな」と思い出しながら、隅々まで描かれた八百万の神々の世界を楽しんでみてください。


