『グレイテスト・ショーマン』登場人物徹底解説──オペラ歌手、空中ブランコ、アンはなぜ？りんごを渡した人の正体も考察

『グレイテスト・ショーマン』は、きらびやかなサーカスの世界を舞台にしながらも、その中心にあるのは人間ドラマです。

音楽やパフォーマンスの印象が強いこの映画ですが、よく見てみると、登場人物一人ひとりが非常に繊細に描かれていて、観るたびに新しい発見があります。

この記事では、作品に登場する重要な人物たち──オペラ歌手のジェニー・リンド、空中ブランコのアン・ウィーラー、アンの心の動き、そして“りんごを渡した人”にスポットを当てて、それぞれが物語にどう関わっているのかを丁寧に解説していきます。

『グレイテスト・ショーマン』の内容とその意味──“最後”にこめられたチャリティ精神とタイトロープの象徴性！

『グレイテスト・ショーマン』は、その華やかなビジュアルや音楽で多くの人の心をつかんだミュージカル映画ですが、実はその内容には深く考えさせられる“意味”がいくつも込められています。特に物語の最後にかけて描かれるバーナムの選択や、彼の人生ににじ...

グレイテスト・ショーマンのフリークス列伝：小人、ヒゲの女、アルビノの双子に込められたメッセージとは？

『グレイテスト・ショーマン』を観た方の多くが心を動かされたのは、きっと歌や映像の華やかさだけではなかったはずです。舞台の上で堂々と輝いていた“フリークス”たち──それは、小人やヒゲ女、アルビノの人物、そして双子の姉妹たちといった、世間から「...

『グレイテスト・ショーマン』はなぜ“嫌い”と言われるのか？──伝えたいこと、興行収入、ラ・ラ・ランドとの違いから考察

『グレイテスト・ショーマン』は、世界中で大ヒットを記録し、サウンドトラックも異例のロングセールスを誇ったミュージカル映画です。しかしその一方で、ネット上では「実はあまり好きじゃない」「正直ちょっと嫌い」という声もちらほら見かけるのが興味深い...

『グレイテスト・ショーマン』（原題：The Greatest Showman）は、2017年に公開されたミュージカル映画で、数多くの賞にノミネート・受賞されています。ただし、アカデミー賞（オスカー）では主要部門の受賞は逃していますが、音楽部門を中心に高く評価されました。

以下に主な受賞歴とノミネートをご紹介します✨

🏆 主な受賞歴・ノミネート

🎼 アカデミー賞（第90回／2018年）

主題歌賞ノミネート
🎵「This Is Me」
→ 残念ながら受賞は逃しましたが、パフォーマンスは話題に。

🏆 ゴールデングローブ賞（第75回／2018年）

主題歌賞受賞
🥇「This Is Me」
→ 映画の象徴ともいえる楽曲で、堂々の受賞。
主演男優賞（ミュージカル・コメディ部門）ノミネート
🎭 ヒュー・ジャックマン

🏆 グラミー賞（第61回／2019年）

サウンドトラック部門ノミネート
🎧「The Greatest Showman: Original Motion Picture Soundtrack」

🏆 MTVムービー＆TVアワード（2018年）

ベストミュージカルモーメント受賞
🕺「This Is Me」

🏆 サテライト賞

主題歌賞受賞
🎶「This Is Me」

📈 その他の評価

サウンドトラックは全世界的に大ヒットし、イギリスでは2018年の年間アルバムチャート1位に。
興行的にも大成功を収め、世界興収は約4億3,500万ドル以上（制作費の約6倍）に達しました。

🎤 『グレイテスト・ショーマン』は、賞レースの中心にこそ立たなかったものの、音楽とメッセージで世界中の観客に深く支持された作品です。

オペラ歌手ジェニー・リンド：誘惑か、それとも誤解か？

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ジェニー・リンドは、劇中でバーナムに招かれて登場する、世界的なオペラ歌手。彼女の圧倒的な歌声とステージパフォーマンスは、観客だけでなくバーナム自身も魅了します。

演じたのはレベッカ・ファーガソンですが、歌唱シーンは実際には歌手ローレン・オルレッドの吹き替えによるものです。その美しいバラード「Never Enough」は、映画の中でもとくに記憶に残る名曲のひとつですね。

ジェニーはバーナムに惹かれたように見えますが、彼のほうは“成功”という名の幻にとらわれていたともいえるでしょう。彼女の突然の引退は、バーナムにとって人生の転機となりました。そして観客にとっては、「魅力と誠実のあいだに揺れる人間の弱さ」を見せてくれる存在でもありました。

空中ブランコのアン・ウィーラー：自由を求めた少女の決意

アンは、フリークスの一員でありながら、圧倒的な美しさと空中パフォーマンスで観客の目を奪う女性です。演じたのはゼンデイヤで、ブランコを使ったアクロバティックな演出はまさに見どころのひとつ。

アンの物語の軸にあるのは、「生まれながらの境遇からどう自由になるか」。彼女は黒人として差別を受け、恋愛すら自由にできない現実と向き合っています。それでもなお、恋心を抱くフィリップに対して、自分から距離を取ろうとするその強さには、心を打たれます。

アンの空中ブランコは、単なる演出ではなく「自由になりたい」という彼女の心そのものを象徴しているのではないでしょうか。

「アンはなぜ？」その心に潜む葛藤と選択の理由

「アンはなぜ、あんなにも心を閉ざしていたのか？」と疑問に思った方も多いかもしれません。

その理由は、時代背景に深く根ざしています。バーナムが興行を行っていた当時、異人種間の恋愛は社会的に強く非難されるものでした。アンはフィリップのことを想っていながらも、「彼の将来を壊してしまうかもしれない」と考え、自ら一歩引いてしまうのです。

でも、それは「引き下がる」ことではなく、「想うからこそ離れる」という強さの証でもありました。
アンは、観客に「愛とは、ただ近くにいることだけではない」と静かに教えてくれる存在なのかもしれませんね。

りんごを渡した人は誰？観客に訴えかける“受け入れ”の象徴

映画の冒頭、バーナムが少年時代に働いていた裁縫店で、浮浪児のような姿の子どもにりんごを渡されるシーンがあります。実はこの人物、物語全体の中で重要な“象徴的存在”でもあるのです。

この“りんごを渡した人”は、バーナムが社会的に弱い立場の人々に優しさを受け取った最初の瞬間とも言えます。それは後の彼が“フリークス”を集めて見世物ではなく“家族”として迎え入れる動機にもつながっているのです。

つまり、この人物は物語の軸である「誰もが受け入れられる場所をつくる」というビジョンを、バーナムに初めて芽生えさせた存在なのかもしれません🍎

登場人物たちに共通するテーマ──「見られること」と「自分であること」

この作品に登場する人物たちは、皆どこかで「人に見られる」立場にあります。
ジェニーは歌声で、アンは身体能力で、フリークスたちはその“見た目”で。しかし彼らは、その視線をただ受け入れるのではなく、自らの意思で「どう見られるか」を選ぼうとしています。

それは、観客である私たちにも突きつけられた問いです。
「あなたは、誰かに合わせて生きていませんか？」「あなた自身を誇れていますか？」

『グレイテスト・ショーマン』を観たあなたに！

『フォックスキャッチャー』（2014）🎬 プライムビデオで見る 🍿📺

『グレイテスト・ショーマン』のバーナムとは対照的に、成功と支配の裏にある人間の脆さを描いた作品です。サーカスのような舞台ではありませんが、「人を見せる」「コントロールする」というテーマが重なる深いドラマになっています。カリスマ性と闇を併せ持つ人物像や、夢がどこかで歪んでしまう怖さが、じんわりと心に残ります。華やかさよりも静かな衝撃がほしい方におすすめです。

『ウォーク・ザ・ライン／君につづく道』（2005）🎬 プライムビデオで見る 🍿📺

実在の伝説的ミュージシャン、ジョニー・キャッシュの人生を描いた音楽映画です。『グレイテスト・ショーマン』と同じく、“自分の居場所を求めて歌う”という強いテーマがあります。音楽で人生を変えた人の物語は、どこかバーナムのサクセスストーリーとも重なり合うように感じます。愛、葛藤、音楽の力──すべてが詰まった一本です。

『ショコラ君がいて、僕がいる』（2015）🎬 プライムビデオで見る 🍿📺

19世紀フランスのサーカス界で活躍した黒人ピエロ“ショコラ”の実話を元にした映画で、人種差別や社会的な壁を描いた点でも『グレイテスト・ショーマン』と通じるものがあります。ショービジネスの舞台裏で起こる現実、そして夢を抱くことの苦しさと誇りが、じんわり心に沁みます。美しい映像とシリアスなドラマが融合した、考えさせられる作品です。

『ドリームガールズ』（2006）🎬 プライムビデオで見る 🍿📺

歌、夢、そしてスターになることの光と影を描いたミュージカル映画の名作です。グループ内での葛藤や個人の成長といったドラマは、『グレイテスト・ショーマン』で描かれた仲間たちの関係性ともよく似ています。ビヨンセやジェニファー・ハドソンなど、実力派キャストたちの熱演と歌声は圧巻のひと言。音楽を愛するすべての人に贈りたい一本です。