芥川賞を受賞し、映画化もされた金原ひとみさんの話題作『蛇にピアス』。
その過激な描写と独特な世界観に魅了された方も多いのではないでしょうか?🌀
でも、物語を読み終えたあとに
「結末の意味がわからなかった…」
「結局、犯人は誰だったの?」と、モヤモヤが残った方もきっといらっしゃるはずです。
今回は、そんな疑問に寄り添いながら、『蛇にピアス』のラストシーンの意味や物語の本質についてじっくり解説していきます📖✨
特に、謎の多いシバの死の真相や、主人公ルイが最後に選んだ行動の背景にどんな意味が込められていたのか?
そして、「この作品が本当に描きたかったことは何だったのか?」に踏み込んでいきます。
読後に残る“違和感”や“余韻”をスッキリ整理したい方、
ネタバレOKの方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね📘💬
『蛇にピアス』あらすじ(簡易ネタバレ)

※イメージです
金原ひとみさんの小説『蛇にピアス』は、
若い女性・ルイが「自分って何者?」という問いを抱えながら、
身体改造という刺激的な世界にのめり込んでいく物語です。
すべては、恋人・アマとの出会いから始まります。
スプリットタン(舌を二つに割る施術)をしている彼に惹かれ、
ルイも「自分を変えたい」と強く願うようになります。
やがて、アマの紹介で出会ったのが、ピアススタジオのオーナー・シバ。
彼との出会いは、ルイにさらなる変化と混乱をもたらします。
シバによるピアッシングは痛みを伴いながらも、
ルイにとってはどこか快楽を感じる行為であり、
二人は次第に身体的にも関係を深めていきます。
その一方で、アマとの距離は少しずつ開いていき、
「変わるほどに、孤独が増していく」ような感覚にルイは苛まれます。
物語後半、突然の出来事が起こります。
──シバが何者かに殺されてしまうのです。
警察の捜査は進展せず、犯人は明かされないまま。
そしてルイのまわりの人間関係は崩れ、彼女自身もさらに深い闇へと向かっていきます。
ラストシーンでは、ルイが別のピアススタジオを訪れる姿が描かれます。
それは再出発なのか、依存の繰り返しなのか──
読者によって、受け取り方が大きく変わる終わり方が印象的です。
🎭 読み進めるほどに、痛みとアイデンティティの狭間で揺れるルイの心情に、
思わず引き込まれてしまう一冊です。

物語のラスト、ルイに何が起きたのか?

※イメージです
『蛇にピアス』のラストシーンは、一見すると淡々と描かれていますが、
その奥には多くの感情や深い意味が込められています。
物語のクライマックスでは、ルイが新たなピアスホールを開けに行く様子が描かれます。
それは、シバの死という大きな喪失のあと、なおも「痛み」を求める彼女の姿です。
シバを失った今、ルイは“痛みの源”である依存対象を失ってしまったわけですが、
それでもなお、彼女は別のピアススタジオを訪れます。
これは一見、“再出発”のようにも思えますが、
同時に「変わりたい」と願いながらも、また“痛み”にすがる姿でもあるのです。
この行動は、ルイが「誰にも依存せず、自立している」ように見えて、
実は「痛み」という感覚に深く依存している──
そんな彼女の本質を象徴しているのかもしれません。
アマとの関係も、この時点ではすでに終わりを迎えています。
彼はルイの深い部分を理解できず、支えることも、寄り添うこともできませんでした。
💭 ラストのルイは、誰かとの絆ではなく、
“痛み”そのものを通してしか自分を確かめられない、孤独な存在です。
このエンディングは、読む人によって「希望」とも「絶望」とも受け取れるでしょう。
だからこそ、余韻が残り、語りたくなるラストシーンなのです。

シバの死の犯人は誰か?

※イメージです
『蛇にピアス』の中でも、読者の間で大きな話題になっているのが
「シバを殺したのは誰だったのか?」という点です。
小説でも映画でも、犯人の正体は最後まで明かされません。
だからこそ、「一体誰が?なぜ?」というモヤモヤが残るんですよね。
そんな中、最も疑われている人物がアマです。
彼はルイの元恋人であり、シバとはルイを挟んだ“対立構造”にありました。
アマが怪しいと言われる理由はいくつかあります👇
-
シバとルイの関係が深まった直後に、事件が起こっている
-
アマはルイに対して強い執着を見せていた
-
アマの言動や態度に、どこか“冷たさ”や“曖昧さ”が残っている
しかしながら、作中ではアマが犯人であると明確に描かれてはいません。
警察の捜査も描写が少なく、ルイ自身も深く追及しようとはしていない様子です。
この曖昧さこそが、『蛇にピアス』らしい不穏な空気を作り出していて、
“犯人探しが目的の物語ではない”というメッセージにもつながっている気がします。
作者があえて真相を明かさなかったのは、
「ルイにとって重要なのは“誰が殺したか”ではなく、“その後どう生きるか”」
という視点を示したかったのかもしれません。
💡 読者に答えを委ねるスタイルだからこそ、何年経っても語られ続ける作品になったのでしょう。
ラストが伝えたかったこと

※イメージです
『蛇にピアス』の結末を読んで、「これは希望?それとも絶望?」と感じた方も多いのではないでしょうか。
この物語のラストが語りかけてくるもの、それは読み手によって実にさまざまに解釈されます。
ただし、そこに込められた“テーマの核心”に近づくためのヒントは、作中にちりばめられているんです🔍
まず、大きなキーワードとなるのが「痛みとアイデンティティの関係」です。
ルイは、誰かに理解されることよりも、自分の存在を強く感じたいという衝動から、
身体を改造し、痛みを受け入れることで“生きている実感”を手に入れようとします。
現代社会では、感情が麻痺してしまうような毎日の中で、
自分の存在がぼやけてしまう瞬間がたくさんありますよね。
そんな中で、ルイが選んだ「痛み」は、彼女にとっての“確かな手ごたえ”だったのです。
また、彼女の行動は単なる反抗や自傷ではなく、
ある種の“自己表現”でもあります。
自分がどう生きたいのか、どう在りたいのか──
その答えを探すために、ルイはあえて「傷つく道」を選び続けたとも言えます。
シバの死やアマとの決別を経ても、なお“痛み”に向かう彼女の姿からは、
「人は簡単には変われない」という現実も感じられます。
救済を描く物語ではなく、
“痛みの先にしか自分を見つけられない”という、静かな諦めのようなものが漂うラスト。
💭 だからこそこの結末は、希望にも、絶望にも、どちらにも見える。
読む人それぞれが、自分自身の経験や感情と照らし合わせて、自由に受け取ることができるのです。
『蛇にピアス』結末ネタバレ|ラストの意味と犯人の正体:まとめ

※イメージです
🔹 『蛇にピアス』は、身体改造や“痛み”を通して「自分の存在」を確かめようとする
若い女性・ルイの物語です。
🔹 ラストでは、ルイが新たなピアススタジオを訪れます。
これは“再出発”とも、“依存の継続”とも取れる象徴的なシーンです。
🔹 ルイはアマとシバの間で揺れながら、最終的には「誰にも頼らず、痛みを選ぶ」ことで
自分を確かめようとしています。
🔹 シバの死について、犯人は明かされていませんが、最も疑われているのはアマ。
ただし、確たる証拠はなく、読者に委ねられた形になっています。
🔹 この物語の本質は、犯人探しではなく、「なぜルイが痛みに惹かれるのか」、
その“内面の変化”にあります。
🔹 全体を通して、「痛み=生きている証」というメッセージが強く描かれており、
それがこの作品のテーマの核でもあります。
🔹 ルイの行動は、単なる自傷ではなく“自己表現”であり、
誰にも理解されなくても「自分だけはわかっていたい」という思いが込められています。
🔹 結末には「救い」も「破滅」も明確に描かれず、
読者それぞれが自由に感じ取ることができる“余白”が残されています。
💡 『蛇にピアス』が多くの人の心に残る理由は、
事件の真相ではなく、「問い」を残してくれるからこそ。
読み終えたあとに、心のどこかをチクリと刺すような、そんな不思議な余韻を持った物語です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました😊
少しでも読後のモヤモヤが晴れたなら、とても嬉しいです。