クリスマスの定番映画といえば、世界中の誰もが真っ先に思い浮かべるであろう名作『ホーム・アローン』。1990年の公開当時、全世界で記録的な大ヒットを飛ばし、主演のマコーレー・カルキンを一躍スターダムに押し上げたコメディ映画の金字塔です。

「子供の頃にテレビで見たけれど、細かい内容は忘れてしまった」
「シリーズがたくさんあるみたいだけど、どれから見ればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方のために、記念すべき第1作目『ホーム・アローン』のあらすじから、物語の舞台設定、そして現在に至るまでのシリーズ全作品の情報まで、その魅力を余すところなく徹底解説します。大人になった今だからこそ気づく、本作の奥深さについても触れていきます。
この記事でわかること
- ホームアローン1の結末までの詳細なあらすじ
- 「コメディ」の枠を超えた物語のテーマと見どころ
- 映画の舞台となった国や撮影場所の豆知識
- シリーズ全6作品の一覧とおすすめの視聴順
ホームアローン1のあらすじ
物語は、クリスマスの休暇をパリで過ごそうと計画している大家族、マカリスター家の騒動から始まります。ここでは、物語を「発端」「展開」「クライマックス」「結末」の4つのフェーズに分けて詳しく解説します。
家族旅行に取り残されたケビンの奮闘
【発端】「家族なんていなくなればいい」という願い
主人公は、シカゴの裕福な家庭に生まれた8歳の少年、ケビン・マカリスター。彼は5人兄弟の末っ子で、従兄弟たちを含めた大家族の中でも立場が弱く、いつも意地悪な兄バズにいじめられていました。
出発前夜、兄にピザを横取りされたことで喧嘩になり、家族全員から「お前が悪い」と責められたケビンは、屋根裏部屋で寝るように言いつけられます。腹を立てたケビンは、母親に対して「家族なんてみんな消えてしまえばいい!」と叫んで眠りにつきます。

【展開】突然訪れた自由と静寂
翌朝、停電による目覚まし時計のトラブルで、マカリスター家は全員が寝坊してしまいます。総勢15人が大パニックで空港へ向かう中、屋根裏部屋で寝ていたケビンだけが、手違いで家に置き去りにされてしまいます。
目を覚ましたケビンは、家の中に誰もいないことに気づきます。「僕の願いが叶ったんだ!家族を消してやった!」と勘違いした彼は大喜び。普段は禁止されているベッドでのジャンプ、ジャンクフードの暴食、兄の部屋の捜索、さらにはソリで階段を滑り降りるなど、一人暮らしの自由を謳歌します。
結末までハラハラ!泥棒撃退の物語

【危機】忍び寄る「ウェット・バンディッツ」
しかし、その自由な時間は長くは続きませんでした。クリスマス休暇で空き家になった豪邸を狙う泥棒コンビ、ハリーとマーヴ(自称:ウェット・バンディッツ/水浸し強盗)が、マカリスター家に目をつけていたのです。
最初はマネキンを使ったり、テレビの音声を大人に見せかけたりして泥棒を遠ざけていたケビンですが、ついに家に一人の子供しかいないことがバレてしまいます。「今夜9時、家に押し入る」という泥棒たちの計画を聞いたケビンは、恐怖を乗り越え、「僕の家は僕が守る」と決意します。
【クライマックス】痛快なトラップ合戦

ケビンは家中の日用品を駆使して、泥棒たちを迎え撃つための「戦闘計画(バトルプラン)」を作成します。クリスマスの夜、侵入してきた泥棒たちを待ち受けていたのは、容赦のない罠の数々でした。
| トラップの種類 | ターゲット | 効果 |
|---|---|---|
| 凍結した階段 | ハリー&マーヴ | 玄関前で派手に転倒し、腰や頭を強打させる。 |
| 熱したドアノブ | ハリー | バーナーで赤くなるまで熱し、手のひらに「M」の火傷を負わせる。 |
| タールの階段と釘 | マーヴ | 靴下を脱がせた後、裸足で釘を踏ませる激痛コンボ。 |
| ペンキ缶の振り子 | ハリー&マーヴ | 階段を登ってくる二人の顔面に直撃させ、吹き飛ばす。 |
【結末】家族との再会と本当の願い

ボロボロになりながらも執念で追いかけてくる泥棒たちに捕まりそうになった絶体絶命の瞬間、助けてくれたのは隣人のマーリー老人でした。彼のシャベルの一撃で泥棒たちは気絶し、駆けつけた警察によって御用となります。
そしてクリスマスの朝。パリから一人で先に引き返してきた母親が家に戻り、ケビンと感動の再会を果たします。遅れて帰宅した家族全員も揃い、家には再び賑やかさが戻りました。ケビンは「家族が消えてほしい」という願いを取り消し、家族がいることの温かさを噛みしめるのでした。
そもそもどんな話?ジャンルと見どころ

「子供が泥棒をやっつける映画」というイメージが強い本作ですが、それだけではありません。なぜこれほどまでに名作として語り継がれているのか、その作品の深層(どんな話なのか)を3つの視点から掘り下げます。
1. 子供の夢を叶える「スラップスティック・コメディ」
最大の魅力は、物理法則を無視したようなドタバタ劇、いわゆる「スラップスティック・コメディ」の要素です。本来であれば無力なはずの8歳の子供が、狡猾な大人たちを手玉に取る展開は、子供たちに「僕たちにもこんなことができるかもしれない」という夢とカタルシスを与えました。
アイロンが顔面に落ちたり、頭が燃えたりといった過激な描写も、コミカルな演出のおかげで笑って見られるエンターテインメントに昇華されています。
2. 少年が自立する「成長物語(ビルドゥングスロマン)」
物語冒頭のケビンは、自分で荷造りもできず、すぐにすねる甘えん坊でした。しかし、一人きりの生活の中で、彼は自分で買い物をし、洗濯をし、食事を用意し、そして家を守るために知恵を絞ります。
この映画は、単なる泥棒撃退劇ではなく、「無力だった少年が、たった数日で責任感と勇気を獲得し、一人前の『家の守り手』へと成長する物語」なのです。教会で自分の行いを反省するシーンなどは、ケビンの内面的な成長を象徴しています。
3. 「見かけで判断してはいけない」というメッセージ
サブプロットとして重要なのが、隣人のマーリー老人の存在です。当初、ケビンは彼を「シャベル殺人鬼」だと信じ込んで恐れていました。
しかし、教会で言葉を交わすことで、彼が実は家族思いの優しい老人であり、息子と喧嘩して疎遠になっているという孤独な境遇を知ります。ケビンは彼に「家族なら電話するべきだ」とアドバイスし、結果的にマーリー老人と息子の和解のきっかけを作ります。「怖い噂」や「外見」だけで人を判断してはいけないという教訓が、物語に深みを与えています。
舞台はどこの国?撮影場所の裏話
映画全体を包むクリスマスムードや、雪の積もった美しい街並みも本作の大きな魅力です。ここでは具体的な舞台設定と撮影地について解説します。
舞台はアメリカ・イリノイ州シカゴ

『ホーム・アローン』の舞台となっている国はアメリカ合衆国です。
具体的には、イリノイ州シカゴの北岸に位置する高級住宅街、ウィネトカ(Winnetka)というエリアがモデルとなっています。
なぜシカゴが選ばれたのか?
脚本・製作を務めたジョン・ヒューズはシカゴ出身で、彼の作品(『フェリスはある朝突然に』など)の多くはシカゴ周辺を舞台にしています。 シカゴ郊外は、広大な敷地を持つ伝統的な邸宅が多く、雪景色が美しいことから、「クリスマスの奇跡」を描くのに最適な場所でした。
マカリスター家は実在する?
映画の象徴とも言える、あの赤レンガの豪華な邸宅は、セットではなく実在する個人宅を使って撮影されました。住所は「671 Lincoln Avenue, Winnetka, Illinois」。
2021年には、Airbnbで「ホーム・アローンの家」として一夜限りの宿泊プランが提供され、世界中で大きな話題となりました。ただし、内装の多くのシーン(特に階段落ちや水浸しになる地下室など)は、近くの高校の体育館に作られたセットで撮影されています。
ホームアローンは全何作ある?シリーズ一覧

「ホーム・アローン」の名を冠する作品は、実は全部で6作品存在します。しかし、一般的に多くの人がイメージする「ケビン(マコーレー・カルキン)」が登場するのは2作目までです。
以下に、全シリーズの情報を一覧表にまとめました。
| 作品名 | 公開年 | 主演(役名) | 特徴・備考 |
|---|---|---|---|
| ホーム・アローン | 1990 | マコーレー・カルキン (ケビン) |
伝説の第1作。自宅での防衛戦を描く。世界興行収入5億ドル超えの大ヒット。 |
| ホーム・アローン2 | 1992 | マコーレー・カルキン (ケビン) |
舞台はニューヨーク。泥棒も家族もキャストが続投した正統続編。トランプ氏のカメオ出演も有名。 |
| ホーム・アローン3 | 1997 | アレックス・D・リンズ (アレックス) |
キャストを一新。敵が国際犯罪組織になり、罠がよりハイテク化。単体作品としての評価が高い。 |
| ホーム・アローン4 | 2002 | マイク・ワインバーグ (ケビン) |
テレビ映画。主人公名はケビンだが、キャストは異なる。両親が離婚している設定などで賛否両論。 |
| ホーム・アローン5 | 2012 | クリスチャン・マーティン (フィン) |
テレビ映画。幽霊屋敷と泥棒退治をミックスした変わり種。 |
| ホーム・スイート・ホーム・アローン | 2021 | アーチー・イェーツ (マックス) |
Disney+独占配信。オリジナル版のリブート作品で、過去作との繋がりも示唆されている。 |
シリーズのおすすめの視聴順は?
基本的には、『ホーム・アローン1』と『ホーム・アローン2』をセットで見れば、このシリーズの最大の魅力は味わえます。マコーレー・カルキンの愛らしさと、泥棒コンビとの掛け合いは、この2作で完成されています。
もし『1』『2』を見終わって、「もっとトラップが見たい!」と思ったら、『ホーム・アローン3』をおすすめします。主人公は変わりますが、脚本はジョン・ヒューズが担当しており、トラップのアイデアやテンポの良さは1・2作目に引けを取りません。
まとめ:家族みんなで楽しめる永遠の名作
『ホーム・アローン』は、単なる子供向けのドタバタ映画ではありません。 ハラハラドキドキのアクション、お腹を抱えて笑えるコメディ、そして最後にはホロリと泣ける家族愛が詰まった、完璧なエンターテインメント作品です。
「どんな話だったっけ?」と思い出そうとしていた方も、今回のあらすじや舞台裏を知った上で見返すと、ケビンの細かな表情の変化や、伏線の数々に気づき、より一層楽しめるはずです。 今年のクリスマスや休日は、ぜひ家族みんなで『ホーム・アローン』を鑑賞し、笑って、感動して、温かい気持ちになってみてはいかがでしょうか。
※注意:
映画の中のトラップは非常に危険です。絶対に家で真似をしないでくださいね!
