『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話?原作や野いちごでの連載、気になる続編まで徹底解説!

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』 日本映画
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映画や小説で『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に触れ、その切なくも美しい物語に涙した方は多いのではないでしょうか。「こんなに感動するなんて、もしかして実話なの?」と感じますよね。

この記事では、そんなあなたの疑問にお答えします。物語は実話なのかという真相から、その感動の源流である原作小説、そして人気作が生まれたウェブ小説サイト「野いちご」での連載秘話、物語に命を吹き込んだ作者・汐見夏衛さんの想い、そしてファンが心待ちにしている続編の有無まで。

物語の世界をより深く味わうための情報を、一つひとつ丁寧に解説していきます。

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話?物語の着想源と歴史背景

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話?物語の着想源と歴史背景

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話?物語の着想源と歴史背景

まず最初に、多くの方が最も気になっている「この物語は実話なのか?」という核心に迫っていきましょう。物語の背景には、紛れもない日本の歴史が深く関わっていました。

結論:物語は実話ではないフィクション

早速結論からお伝えしますと、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、特定の個人の実体験を元にした実話ではありません。主人公の加納百合(かのう ゆり)や特攻隊員の佐久間彰(さくま あきら)は、作者によって生み出された架空の人物です。

「なんだ、フィクションだったのか…」と少し残念に思われたかもしれませんね。ですが、がっかりするのはまだ早いのです。この物語は、完全な空想から生まれたわけではありません。むしろ、たくさんの「本当にあった出来事」や「実在した人々の想い」を丁寧に紡ぎ合わせて作られた、限りなくノンフィクションに近いフィクション、と呼べるかもしれません。物語に散りばめられたリアルな描写の数々には、私たちが忘れてはならない歴史の事実が息づいているのです。

実話と噂される背景|モデルとなった特攻隊員の遺書

では、なぜこれほどまでに「実話ではないか」と多くの人が感じるのでしょうか。その最大の理由は、物語の背景にある「特別攻撃隊(特攻隊)」という史実の存在と、作者の綿密な取材にあります。

物語の重要な舞台となるのが、特攻隊員たちが集う食堂です。ここは、鹿児島県に実在した「富屋食堂」がモデルになっていると言われています。食堂の女将であった鳥濱トメさんは、身寄りのない隊員や、本音を言えずに苦しむ隊員たちを我が子のように可愛がり、物資が乏しい中でも必死に食事を工面しました。隊員たちから「お母さん」と慕われた彼女の存在は、死と隣り合わせの若者たちにとって、唯一の心の拠り所だったに違いありません。作中の女将・ツルさんの優しさは、まさに鳥濱トメさんの姿そのものなのです。

そして何より、主人公・彰をはじめとする特攻隊員たちの人物像は、知覧の特攻平和会館などに今も残されている、数多くの隊員たちの遺書や手紙から着想を得ています。彼らの多くは、10代後半から20代前半の若者でした。そこには、死への恐怖や葛藤を抱えながらも、家族の幸せを願う切実な言葉が綴られています。

例えば、ある隊員は「お母さん、最後までありがとう」と、育ててくれた継母への感謝を記しました。また、ある隊員は婚約者に「君の幸せを希(こいねが)う以外に何物もない。新しい人生を見つけて、幸せになってほしい」という内容の手紙を残しています。自分の死後、遺される人の未来を案じる深い愛情が、そこにはありました。『あの花』の登場人物たちが交わす言葉や、胸に秘めた想いは、こうした名もなき若者たちの「魂の声」をモデルにして、丁寧に描かれているのです。だからこそ、私たちはこの物語にフィクションとは思えないほどの強いリアリティと、心を揺さぶる感動を覚えるのですね。

原作小説と映画版のあらすじ・違いを解説

この感動的な物語は、もともと一冊の小説から始まりました。ここでは、物語の核となるあらすじと、原作小説と映画版のちょっとした違いについてご紹介します。

【あらすじ】
親や学校、すべてにイライラしていた現代の少女・加納百合。ある日、母親と喧嘩して家を飛び出し、近所の防空壕跡で眠ってしまいます。しかし、目を覚ますとそこは1945年、戦争末期の日本でした。途方に暮れる百合を救ってくれたのは、偶然通りかかった青年、佐久間彰。彼の誠実さと優しさに惹かれていく百合でしたが、彰は数日後に、愛する人や故郷のために飛行機で敵艦に突っ込む「特攻隊員」として、出撃する運命を背負っていました。残されたわずかな時間の中で、二人は互いにかけがえのない存在になっていきますが、無情にも運命の日は刻一刻と近づいてきます…。

基本的なストーリーは原作と映画で同じですが、より深く物語を味わいたい方のために、いくつかの違いを挙げておきますね。

  • 主人公の年齢:原作小説では百合は中学2年生ですが、映画では高校生に設定が変更されています。
  • ラストの余韻:映画は映像ならではの感動的な演出で締めくくられますが、原作小説は百合のその後の人生や心情に寄り添うような、より深い余韻を残す終わり方になっています。
  • 心情描写:小説では、百合の一人称で物語が進むため、戦時下の日本で彼女が何を感じ、どう成長していったのか、その心の機微がより繊細に、詳しく描かれています。

どちらの作品もそれぞれの魅力がありますので、映画で感動した方はぜひ原作小説を、原作ファンの方は映画を、と両方楽しんでみることを強くおすすめします。

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が実話以上に心を打つ理由|原作から続編まで

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が実話以上に心を打つ理由|原作から続編まで

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が実話以上に心を打つ理由|原作から続編まで

この物語が、単なるフィクションを超えて私たちの心に響くのはなぜでしょうか。ここからは、物語を生み出した作者の想いや、作品が世に出るまでの道のり、そして気になる「続編」について、さらに深く掘り下げていきます。

作者・汐見夏衛氏が作品に込めた平和へのメッセージ

この物語の作者は、汐見夏衛(しおみ なつえ)さんという小説家です。彼女の経歴が、この物語に大きな影響を与えています。汐見さんは作家になる前、高校で国語を教える先生でした。

彼女がこの物語を書く直接のきっかけとなったのは、教師として日々生徒たちと接する中で感じた、ある危機感だったそうです。現代の高校生にとって、70年以上前の戦争は、教科書の中の遠い出来事でしかなく、その実感や悲しみがほとんど伝わっていない。このままでは、あの悲劇が風化し、忘れ去られてしまうのではないか…。

そんな想いを抱いていた汐見さんは、自身が中学生の時に社会科見学で訪れた、故郷・鹿児島にある「知覧特攻平和会館」での衝撃的な体験を思い起こします。そこで見た、自分とさほど年の変わらない若者たちの遺影や遺書。その記憶と、教師として感じた危機感が結びついた時、この物語の構想が生まれました。

ただ、真正面から「戦争は悲しい」「平和は大切だ」と訴えるだけでは、若い世代には届きにくいかもしれない。そこで汐見先生が選んだのが、「タイムスリップ」と「恋愛」という、誰もが感情移入しやすい小説の形だったのです。主人公・百合の目線を通して戦争を体験することで、読者が自然と平和の尊さを感じられるように。そんな作者の巧みで優しい工夫が、この物語の根底には流れています。

原作が生まれた場所|ケータイ小説サイト「野いちご」との関係

今や大ベストセラーとなった本作ですが、その出発点はとても現代的でした。物語が最初に発表されたのは、スターツ出版が運営する「野いちご」というケータイ小説・Web小説サイトだったのです。

「野いちご」は、主に女子中高生に人気のプラットフォームで、たくさんの恋愛小説が無料で公開されています。汐見さんは2015年、『可視光の夏―特攻隊と過ごした日々―』というタイトルでこの物語の連載を開始しました。すると、その切ないストーリーが読者の間で瞬く間に評判となり、サイト内で絶大な人気を獲得します。

読者からの「感動した」「続きが気になる」といった応援コメントが、作者の執筆の力となり、物語は磨き上げられていきました。そして2016年、読者の熱い支持を背景に、タイトルを『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』と改め、書籍として出版されることになったのです。Webでの人気が書籍化に繋がり、さらにTikTokなどのSNSで評判が拡散して映画化に至るという、まさに現代ならではのシンデレラストーリーを駆け上がった作品と言えるでしょう。この大ヒットの原点には、読者と作者が一緒になって物語を育てていくWeb小説サイトの文化があったのですね。

続編はある?関連作品『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』

「百合と彰の物語、この後どうなるの?」「他の隊員たちの話も知りたい!」そう感じている方も多いのではないでしょうか。残念ながら、現時点では百合と彰の物語を直接描く公式な「続編」は発表されていません。あの美しい結末の余韻を大切にしたい、ということなのかもしれませんね。

ですが、朗報があります!実は、同じ世界観を引き継ぐ、公式の「関連作品」が存在するのです。それが、『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』という一冊です。

こちらの物語の主人公は、『あの花』にも登場した特攻隊員・板倉の婚約者であった「千代」と、現代に生きる男子高校生の「涼(りょう)」。『あの花』では現代から過去へ行きましたが、今作では逆に、過去の人物(千代)が現代に転生してくるところから物語が始まります。戦争で心に深い傷を負った千代が、涼の優しさに触れて、どのように癒され、新たな一歩を踏み出すのかが描かれる、再生の物語です。

作中では、『あの花』の登場人物たちのその後が語られる場面もあり、ファンにとってはたまらない内容になっています。直接の続編ではありませんが、『あの花』の世界をより深く、多角的に楽しむことができる、もう一つの感動的な物語です。気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。

【まとめ】『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話ではないが、史実の想いを繋ぐ物語

【まとめ】『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話ではないが、史実の想いを繋ぐ物語

【まとめ】『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は実話ではないが、史実の想いを繋ぐ物語

今回は、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が実話なのか、というテーマを中心にお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。

この記事のポイントを最後におさらいします。

  • 物語は特定の個人の実話ではない、フィクションである。
  • しかし、知覧の特攻隊員たちの遺書や、彼らを支えた人々の史実を基に、丁寧に作られている。
  • 作者の汐見夏衛さんは元高校教師で、戦争の記憶を若い世代に伝えたいという強い想いからこの物語を執筆した。
  • 原作は「野いちご」というWeb小説サイトでの連載から始まり、読者の支持を得て大ヒットに繋がった。
  • 直接の続編はないが、世界観を共有する関連作品『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』がある。

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、実話ではありません。ですが、かつてこの国に確かに存在した若者たちの命の輝き、悲しみ、そして未来への願いを、現代に生きる私たちに繋いでくれる、史実に基づいた尊い物語です。この作品に触れたことで、私たちが毎日を当たり前に過ごせることの奇跡や、大切な人が隣にいることの幸せを、改めて感じることができたのではないでしょうか。