こんにちは、ホラー映画大好きなビビりな解説者タケです。
映画『屍人荘の殺人』を観て、「結局これは本格ミステリーなの?ゾンビ映画なの?」「ウイルスをばらまいた犯人は誰?」「明智さんは本当に死んだの?」と、頭の中が疑問符だらけになった人もいるはずです。さらに原作ファンの感想を読むと「ひどい」という声もあれば、「予想外で面白い」という声もあり、これから観るべきか迷いますよね。
先に私の結論を言うと、映画『屍人荘の殺人』は単純にひどい作品ではありません。ただし、原作の緊張感や論理を味わいたい人には軽すぎる一方、変わった設定と豪華キャストを楽しむ娯楽作として観れば、かなり愉快な一本です。ここからは映画の結末まで触れながら、モヤモヤしやすい部分を一つずつ解き明かします。
ここから先は映画と原作小説の重大なネタバレを含みます。犯人、死亡人物、殺害方法、ラストを知りたくない人は、鑑賞後に戻ってきてください。
- 映画がひどいと言われる理由と面白い魅力
- 館内の殺人犯と感染テロ犯の違い
- 明智の死亡と最後の口パクの意味
- 原作との変更点やキャストと続編情報
映画はひどいのか
評価が割れる原因は、作品の出来だけではなく、観客が期待したジャンルと映画が選んだ味付けのずれにあります。本格推理を期待した人、ゾンビの恐怖を求めた人、出演者の掛け合いを観たい人では、同じ場面でも受け止め方が変わる映画です。
結論は好みが分かれる
『屍人荘の殺人』は、今村昌弘さんの同名小説を木村ひさし監督が映像化した作品です。原作の核であるゾンビに包囲された館で、ゾンビでは説明できない殺人が起きるという仕掛けは、映画にもきちんと残っています。殺害方法にもゾンビの性質が使われており、設定だけを借りた作品ではありません。
しかし、映画はシリアスな疑心暗鬼より、派手な人物造形や笑いを前面へ出しました。重たいクローズドサークルを求める人ほど「原作の空気が消えた」と感じやすく、反対に難しい推理物が苦手な人には入りやすい作り。明るくクセのある娯楽映画と考えると、評価の分かれ目が見えてきます。
私の評価は「欠点のある快作」です。謎解きの余韻は薄いものの、ゾンビを密室装置と殺人の道具へ変える発想、神木隆之介さん・浜辺美波さん・中村倫也さんの掛け合いには、ほかの作品では得にくい楽しさがあります。
ひどいと言われる理由
最も大きいのは、原作の緊迫感がコメディーでたびたび途切れることでしょう。剣崎比留子がひらめく際の独特なポーズ、葉村譲が比留子のかわいさに舞い上がる反応、ゾンビを倒す瞬間の骨の映像など、映画独自の笑いが次々に入ります。好きな人にはテンポのよさですが、誰かが命を落とした直後にも軽い調子が続くため、恐怖や悲しみに浸りたい人は置いていかれがちです。
次に、宣伝や主要キャストの並びから、葉村・比留子・明智の三人が最後まで事件を解くと思った人が多かった点。ところが明智は序盤でゾンビの群れに飲み込まれ、大半の謎解きに参加しません。中村倫也さん目当てで観た人が「思っていた出番と違う」と戸惑うのも無理はないですよね。
さらに、班目機関のくだり、葉村の過去、犯人を絞る細かな手がかりが大幅に省かれました。その結果、映画だけでは「フェス会場の注射器集団は何者だったのか」が宙に浮き、推理の答えも急に披露されたように感じられます。
面白いと感じる魅力
それでも本作の着想は抜群です。普通の館物なら、吹雪や嵐で道が閉ざされます。しかし本作では、建物を取り囲むゾンビそのものが外へ出られない理由になります。警察も救急車も呼べず、下の階から安全地帯が少しずつ奪われる。私はビビりなので、この逃げ場が削られていく感覚だけで十分に怖かったです。

しかもゾンビは背景では終わりません。感染者を密室へ隠す、エレベーターの外にいる群れを殺害へ使う、感染した血液を目薬に混ぜるなど、世界の異常な決まりが謎解きの部品になります。つまり「ゾンビなんて反則だ」と言わせた直後、その反則を一定のルールとして推理へ組み込む映画。ここが本作の一番おいしいところかなと思います。
神木隆之介さんの親しみやすい葉村、浜辺美波さんの華やかな比留子、中村倫也さんの憎めない明智も見逃せません。三人の温度差が会話のリズムを作り、怖すぎる映像が苦手な人にも逃げ道を用意しています。
ネタバレあらすじ
ここでは映画で何が起き、誰が誰を殺したのかを順番にたどります。感染テロと館内の事件は別の出来事なので、二本の線を混ぜないのが理解のコツです。
紫湛荘へ向かう三人
神紅大学の葉村譲は、ミステリー愛好会会長の明智恭介に振り回される万年助手です。二人はホームズとワトソンを気取るものの、推理は空回り気味。そこへ、実際に難事件を解いてきた女子大生探偵・剣崎比留子が現れます。
比留子は「今年の生贄は誰だ」と書かれた脅迫状を理由に、ロックフェス研究会の夏合宿へ二人を誘いました。一行が訪れたのは、山奥のペンション紫湛荘。近くの野外フェスには、サークルの学生やOBの七宮兼光、立浪波流也らも集まっています。そこで静原美冬が落としたスマートフォンを七宮たちが拾い、彼女も一行と接点を持ちました。
ゾンビが館を密室にする
同じ頃、フェス会場ではスタッフを装った集団が、観客を注射器で刺していました。刺された人々は倒れたあと、凶暴な状態で周囲を襲い始めます。噛まれた人まで同じ状態になり、会場は一気に地獄絵図。生存者たちは紫湛荘へ逃げ込みます。
明智は逃走中に静原を助け、自分は群れに引きずり込まれました。葉村は生存を信じますが、館は感染者に囲まれて外へ出られません。そこへ一般客の出目飛雄と高木凛も逃げ込み、誰が事情を知る人物なのか、誰が偶然そこにいるだけなのかさえ判別しにくくなります。
やがて出目が館内で発症し、一同は彼を止めます。外から襲われるだけではなく、内部でも感染者が生まれると判明。そんな極限状態で、進藤歩が部屋から出てこなくなりました。
三つの事件の真相

進藤は施錠された部屋で無残な姿となり、その後にゾンビ化します。ドアの隙間には「ごちそうさま」、室内には「いただきます」と書かれた不気味な紙が残されていました。ゾンビには書けない言葉であるため、館内に意図を持って事件を演出している人物がいるとわかります。
ただし、進藤を直接襲ったのは静原ではありません。進藤はフェスで噛まれた恋人の星川麗花を密かに部屋へ連れ込み、布団に寝かせていました。やがて星川が発症し、進藤を噛んだのです。静原はその現場を利用して紙を置き、最初から一連の殺人が計画されていたように見せました。
次に、立浪がエレベーター内で発見されます。静原は睡眠薬で周囲の動きを止め、立浪を殴って動けなくしたうえで、銅像と一緒にエレベーターへ運びました。重量制限を利用して自分は感染者のいる一階へ下りず、立浪だけを群れに襲わせ、再び上階へ戻す仕掛けです。現実に同じ設備で再現できるかという細部には疑問も残りますが、ゾンビを遠隔の凶器にする発想は鮮烈でした。
最後の標的は七宮。静原はゾンビ化した出目から採った血を目薬へ混ぜ、七宮が使う容器と入れ替えます。目から感染した七宮は部屋で発症し、葉村に襲いかかりました。そこで静原が槍を突き立てます。これは葉村を救っただけでなく、七宮を感染させたうえで自分の手でも止めるという復讐の完成でした。
犯人の動機と結末
館内の連続事件を仕掛けた人物は、静原美冬こと遠藤美冬です。映画では、前年の合宿で七宮と立浪に弄ばれ、妊娠後に自ら命を絶った遠藤沙知の妹という設定。美冬は姉と生まれなかった子のために、二人へ報いを受けさせようと近づきました。スマートフォンを落としたのも偶然ではなく、七宮たちに声をかけさせる入口だったわけです。
しかし、フェスの感染騒動は美冬の計画外でした。彼女は突然現れたゾンビを利用し、標的を一度感染者にしてから自分の手で倒す方法へ変えたのです。進藤の死まで連続殺人らしく見せたのは、七宮と立浪に「次は自分かもしれない」と恐怖を味わわせるためでした。
比留子に真相を当てられた美冬は犯行を認めます。その直後、館内へなだれ込んだゾンビから逃げる途中で噛まれ、自ら命を絶ちました。生き残った葉村たちは救助されますが、事件にはもう一つ、明智との別れが待っています。
感染犯と殺人犯の違い
本作で最も間違えやすいのが、「ゾンビを生んだ人」と「紫湛荘で復讐を行った人」を同一人物だと思うことです。ここを分けるだけで、映画の疑問はかなり解けます。

| 出来事 | 実行者 | 映画での説明 | 原作での補足 |
|---|---|---|---|
| フェスの集団感染 | 注射器を持つ正体不明の集団 | 所属や目的は明かされない | 班目機関に関係するテロへつながる |
| 立浪と七宮への復讐 | 静原美冬 | 姉の死に対する復讐 | 基本の犯人は同じだが関係設定が違う |
| 進藤の死亡 | ゾンビ化した星川 | 静原は死を連続事件に見せる | ゾンビの性質を使う謎の一部 |
感染テロは別の事件
映画は、スタッフ風の人物たちがフェス客を注射器で刺す場面を映します。しかし、その物質の名称、集団の所属、目的は語りません。検索では「ゾンビウイルス」と呼ばれますが、映画だけを根拠に正体や正式名称まで決めることはできないのです。
原作では、娑可安湖で起きた集団感染テロの背後に、謎の研究組織「班目機関」が関係していることが示されます。事件後も葉村と比留子は班目機関を追い、第2作『魔眼の匣の殺人』、第3作『兇人邸の殺人』へ話がつながります。つまり原作にとって感染事件はシリーズ全体の入口。一方の映画は一作で観やすくするためか、その入口をほぼ閉じてしまいました。
班目機関と静原美冬は別です。美冬が薬剤を作ったわけでも、フェス全体を感染させたわけでもありません。彼女は予想外に起きた感染騒動を、自分の復讐へ利用した人物です。
静原美冬の犯行範囲
美冬が自ら仕掛けたのは、立浪をエレベーターで感染者へ差し出すこと、七宮の目薬へ感染者の血を混ぜること、そして二人がゾンビ化したあとに止めを刺すことです。進藤については星川に襲われる様子を利用し、紙を置いて連続事件に組み込みました。
したがって「連続殺人犯は美冬」とする結論は大筋で合っていますが、「犠牲者全員を美冬が直接殺した」と言うと正確ではありません。また、感染テロの実行者を美冬とするのも誤り。この二重構造こそ、題名の「殺人」とゾンビ騒動が同時進行する本作の肝です。
明智の死亡と口パク
中村倫也さん演じる明智恭介は、短い出番なのに最後まで存在感を残します。生きている可能性、ラストの唇の動き、原作の台詞との関係を分けて見ていきましょう。

明智は死亡したのか
明智はゾンビ化したのち、死亡したと考えるのが自然です。序盤で群れに取り込まれたあと、事件解決後に再登場しますが、顔色や動きは完全に感染者。葉村へ近づいたところを比留子の槍で頭部に致命傷を受け、倒れたまま動きません。
本作のゾンビは頭部を破壊されると活動を停止します。原作シリーズ第2作以降も明智が生還した展開にはなっていません。2024年刊行の『明智恭介の奔走』は復活後の話ではなく、『屍人荘の殺人』より前の事件を描く短編集です。
口パクは何と言ったか
最有力なのは、「うまくいかないもんだな」です。原作の明智との別れの場面では、明智がその言葉を発したように見えたと描写されています。そのため、映画の口パクも同じ台詞だと考えるのが自然です。
ただし、映画本編では音声が聞こえず、字幕も表示されません。エンドロール内で答えが示されるわけでもなく、映画版について公式が台詞を明示した一次情報も確認できないため、「原作を踏まえると最有力」とするのが正確です。
意味は、名探偵になりたかったのに事件を解く前に倒れた無念、葉村を自分のワトソンとして連れていけなかった皮肉、結局は比留子に叶わなかった悔しさなど、複数に読めます。私は、人生も推理も思いどおりにならなかった明智が、最後まで明智らしい調子で自分を笑った言葉に感じました。
◆タケのワンポイント解説
口パクに一つの正解を押し込むより、葉村だけには明智のいつもの言葉が聞こえた、と受け取ると切ない場面になります。怖い顔のゾンビなのに、友人との別れとして記憶に残るんですよ。
原作とは場面が違う
映画では救助後、静けさが戻った湖畔に明智が現れ、比留子が「あげない。彼は私のワトソンだ」と告げて倒します。主要三人の関係へ終止符を打つ、映画用の大きな締めくくりです。
一方、原作でゾンビ化した明智と向き合うのは、まだ紫湛荘から脱出する前。緊迫した状況の中で葉村が明智への思いを吐き出し、比留子が止めを刺します。また「うまくいかないもんだな」は原作で印象を残す言葉ですが、映画のように無音の口パクをラストへ置く演出とは位置づけが異なります。映画は友情と三角関係めいた軽さを強め、原作は葉村が相棒を失う痛みをより深く残しました。
原作小説との違い
事件の犯人と中心の仕掛けは共通ですが、そこへ至る道筋はかなり変わっています。映画だけで疑問が残った人ほど、小説を読むと欠けていた背景が埋まるはずです。

| 比較点 | 映画 | 原作小説 |
|---|---|---|
| 合宿の団体 | ロックフェス研究会 | 映画研究部を中心とした合宿 |
| 感染の背景 | 注射器集団の正体は不明 | 班目機関につながる手がかりがある |
| 静原と沙知 | 姉妹 | 近所に住み、幼い頃から美冬を実の妹のように可愛がっていた関係 |
| 静原の立場 | フェスで合流した女性 | 大学と合宿側に関わる人物 |
| 葉村の描写 | 明るく慌て者の助手 | 過去と罪悪感を抱えた語り手 |
| 全体の調子 | 笑いと人物のクセを優先 | 籠城の恐怖と論理を重視 |
| 明智の最期 | 事件解決後の湖畔 | 館から脱出する前 |
団体と人物設定の変更
原作の映研合宿は、映画ではロックフェス研究会へ変更されました。これにより感染が広がる大人数のフェス会場を映像で見せやすくなり、パニック映画としての勢いが増しています。反面、原作にある廃ホテルでの撮影や、班目機関へ通じる手記などが消え、感染テロが本筋から孤立しました。
出目飛雄、高木凛、静原美冬も、映画ではフェスから偶然逃げ込んだ人物のように見せられます。とりわけ美冬を集団の外から来た「スマートフォンを落とした女性」に変えたことで、観客の疑いをそらす効果が生まれました。ただ、原作ほど人物同士の過去が積み上がらないため、真相を聞いたときに急だと感じる人もいるでしょう。
班目機関の説明を省略
原作では、感染事件と班目機関の存在が次作へ続く大きな謎になります。重元充が手記に触れ、その後の動向にも不穏さが残るため、「ゾンビはなぜ現れたのか」という疑問がシリーズの物語へ変わるんです。
映画はその線をほぼ描かず、フェスの場面で怪しい集団を見せるだけにしました。この省略は、映画がひどいと言われる理由の中でも納得しやすい部分です。犯人当ては終わっても、世界を壊した原因の答えがないのですから。
葉村と比留子の描写
映画の葉村は、比留子に見とれては振り回される、愛嬌のある青年として描かれます。原作では、災害と盗難にまつわる過去や、妹からもらった腕時計をめぐる出来事があり、自分の行動を隠すために証言を曲げる苦さも持っています。この内面が削られたことで、映画の葉村は親しみやすくなった一方、物語の語り手としての奥行きは薄くなりました。
比留子も、映画では派手な衣装とひらめきのポーズを持つ、見た瞬間に覚えられる探偵です。浜辺美波さんの喜劇的な間は見事ですが、原作にある「事件を呼び寄せる探偵」としての孤独や、なぜ葉村を助手に求めるのかという陰影は駆け足。二人の関係をもっと味わいたいなら、小説のほうが満足しやすいでしょう。
演出と結末の変更
木村ひさし監督らしい小ネタ、決めポーズ、画面上の遊びが加わり、映画は原作より明らかににぎやかです。頭部を攻撃する残酷な瞬間も骨の映像へ切り替えるなど、直接的な描写を避ける演出が採られています。映倫区分はGで、年齢による鑑賞制限は設けられていません。
結末では、原作の脱出前にある明智との別れを、映画は救助後の湖畔へ移しました。絵としては美しく、中村倫也さんを最後にもう一度登場させる効果もあります。ただし、すでに事件が解決したあとにゾンビ明智が現れるため、悲劇よりも最後の驚かせ役に見えた人もいるはず。ここにも、原作ファンと映画から入った人で評価が割れる理由があります。
キャストと役どころ
本作は主要三人だけでなく、紫湛荘に集まる顔ぶれも豪華です。人数が多いので、まず事件の中心人物から覚えると混乱しません。
神木と浜辺と中村

神木隆之介さんが演じる葉村譲は、ミステリー好きなのに推理がなかなか当たらない助手役。大げさな場面でも嫌味を残さず、観客と同じ目線で異常事態に驚いてくれます。比留子へ心を奪われながらも、明智を見捨てきれない情の深さが役の芯です。
浜辺美波さんが演じる剣崎比留子は、警察からも頼られる女子大生探偵。かわいらしさと容赦のない推理を同居させ、独特なポーズまで堂々と演じます。彼女の雰囲気を楽しいと思えるかどうかが、映画全体との相性を左右するかもしれません。
中村倫也さんが演じる明智恭介は、自称ホームズのミステリー愛好会会長。序盤は頼りないのに、静原がこれから事件を起こす人物だと早くから見抜きます。出番の量より、葉村との相棒感と退場の衝撃で記憶に残る役どころです。
事件を彩る出演者
進藤歩役は葉山奨之さん、重元充役は矢本悠馬さん、名張純江役は佐久間由衣さん。復讐のため合宿へ近づく静原美冬を山田杏奈さんが演じます。美冬はおとなしく見える表情から真相告白までの変化が重要で、山田さんの静かな存在感が犯人隠しにも効いていました。
そのほか、下松孝子役に大関れいかさん、星川麗花役に福本莉子さん、出目飛雄役に塚地武雅さん、高木凛役にふせえりさん、管理人の菅野唯人役に池田鉄洋さん。立浪波流也役は古川雄輝さん、七宮兼光役は柄本時生さんです。
怖さとおすすめする人
「ホラーが苦手でも観られる?」という疑問にも答えます。怖さの感じ方には個人差がありますが、少なくとも重苦しい恐怖が二時間続くタイプではありません。
ホラーの怖さは控えめ
噛み傷、血、変色した顔、ゾンビの群れといった映像は出ます。突然襲われる場面もあるので、驚かされる演出が苦手な人は身構えるかもしれません。ただ、残酷な瞬間を骨の映像や笑いへ逃がし、会話も軽いため、本格的な恐怖映画よりかなり観やすい作りです。
怖さの中心は見た目より、下の階から少しずつ逃げ場を失う状況と、味方の中に殺意を持つ人間がいる疑い。ゾンビ映画としては入門向きですが、人が噛まれる表現自体が苦手なら無理はしないでください。
おすすめできる人
神木隆之介さん、浜辺美波さん、中村倫也さんの掛け合いを観たい人、変わったミステリー設定が好きな人、怖すぎないゾンビ映画を探している人にはおすすめです。論理を一行ずつ追うより、驚きとテンポを楽しみたい人にも合います。
また、鑑賞後に原作を読む前提なら、映画で省かれた班目機関や人物の内面を二度目の楽しみにできます。先に映画で大枠をつかみ、小説で手がかりを確かめる読み方もありですよ。
おすすめしにくい人
原作と同じ重さを求める人、笑いのない籠城劇を期待する人、中村倫也さんが三人目の主役として最後まで推理すると思っている人にはすすめにくいです。謎解きの公平さや細部の現実味を最優先する人も、エレベーターの仕掛けや駆け足の説明に引っかかるかもしれません。
そんな人には映画を先に評価するより、原作小説を読んでから「別味の翻案」として観る方法が合います。映画と小説のどちらが上というより、重視しているものが違うんです。
続編は制作されるか
物語の先は小説で読めますが、映画で同じ続きを観られるかは別問題です。2026年8月28日時点で確認できる範囲を分けてお伝えします。
原作シリーズの続き
東京創元社の公式案内では、本編第2作が『魔眼の匣の殺人』、第3作が『兇人邸の殺人』です。『魔眼の匣の殺人』では葉村と比留子が班目機関を追い、元研究所「魔眼の匣」へたどり着きます。『兇人邸の殺人』でも班目機関の研究資料が物語に関わり、第1作で残った大きな謎が続いていきます。
さらに2024年には、『屍人荘の殺人』以前の明智を描く『明智恭介の奔走』が刊行されました。明智が好きだった人にはうれしい一冊ですが、時系列上の前日譚であり、映画ラストからの生還を描く続編ではありません。
映画続編は未定
同じキャストによる映画第2作は、2026年8月28日時点で公式発表を確認できません。原作があるため制作の題材はありますが、映画公開から時間が経っており、出演者の予定や企画の方向も不明です。「続編決定」とする情報が公式発表へつながっているか、必ず確認してください。
また、映画は班目機関を省いたので、そのまま『魔眼の匣の殺人』へ進むには導入を作り直す必要があります。可能性がゼロとは言えませんが、現状は「原作シリーズは続いている、映画版は未定」が正確な結論です。配信状況や続編に関する正確な情報は、公式サイトをご確認ください。
作品データと確認先
公開時の基本情報と、確認に使える主要ページをまとめます。
映画の基本情報
| 作品名 | 屍人荘の殺人 |
|---|---|
| 劇場公開日 | 2019年12月13日 |
| 製作国 | 日本 |
| 上映時間 | 120分 |
| 映倫区分 | G |
| 監督 | 木村ひさし |
| 脚本 | 蒔田光治 |
| 原作 | 今村昌弘『屍人荘の殺人』 |
| 配給 | 東宝 |
| 主題歌 | Perfume「再生」 |
主要な情報源
原作の刊行情報とシリーズ順は、東京創元社の剣崎比留子シリーズ特設サイトおよび『屍人荘の殺人』書誌ページで確認できます。
映画の公開日、上映時間、監督、脚本、主要キャストは、映画.comの作品情報に掲載されています。予告映像は東宝MOVIEチャンネルの公式予告でも確認できます。
よくある質問
鑑賞後に検索されやすい疑問へ、結論から短く答えます。
屍人荘の殺人のFAQ
Q1. 映画の連続殺人犯は誰ですか?
A. 静原美冬こと遠藤美冬です。姉の遠藤沙知を死へ追いやった七宮兼光と立浪波流也への復讐を実行しました。ただし、進藤歩を直接襲ったのはゾンビ化した恋人の星川麗花で、美冬はその死を一連の事件に見せています。
Q2. ゾンビウイルスをばらまいたのは誰ですか?
A. 映画では、スタッフを装った正体不明の集団が注射器でフェス客へ薬剤を入れますが、所属や目的は明かされません。原作では謎の研究組織「班目機関」に関係する集団感染テロとして先の作品へつながります。静原美冬は感染テロの実行者ではありません。
Q3. 明智恭介は本当に死んだのですか?
A. ゾンビ化した明智は比留子に頭部を刺され、活動を停止します。その後の原作本編でも生還していないため、死亡したと考えるのが自然です。『明智恭介の奔走』は復活編ではなく、『屍人荘の殺人』以前を描いた短編集です。
Q4. 最後の口パクは何と言っていますか?
A. 原作の明智との別れの場面を踏まえると、「うまくいかないもんだな」が最有力です。ただし、映画本編に音声や字幕による答えはなく、映画版の公式確定の台詞とは断言できません。
Q5. 映画の続編はありますか?
A. 原作には『魔眼の匣の殺人』『兇人邸の殺人』などがありますが、同じキャストによる映画続編は2026年8月28日時点で公式発表を確認できません。原作の続きと映画化の決定は分けて考えてください。
映画評価のまとめ

映画『屍人荘の殺人』は、原作の緊迫したクローズドサークル、犯人を追い詰める論理、班目機関へつながる背景をかなり省きました。その代わり、人物のクセ、笑い、速い展開を足しています。なので、原作ファンが物足りなく感じるのは当然ですし、映画だけ観た人が感染テロの答えを求めて困るのもよくわかります。
それでも、ゾンビが館を密室にし、さらには殺害方法そのものへ組み込まれる発想は見事。神木隆之介さん、浜辺美波さん、中村倫也さんを中心とする顔ぶれも華やかです。忠実な本格ミステリー映画ではなく、ゾンビと謎解きを混ぜたクセのある娯楽作として観れば、面白さを拾いやすくなります。
明智はゾンビ化したのち死亡し、口パクは「うまくいかないもんだな」が最有力。館内の犯人は静原美冬ですが、フェスの感染テロを起こした集団とは別です。ここまでわかったうえで、あなたはこの映画を「ひどい」と感じるでしょうか。それとも、欠けた部分まで含めて妙に忘れられない一本になるでしょうか。私は後者でした。
※本記事は公開情報と作品内容をもとに作成していますが、解釈や情報に誤りが含まれる可能性があります。正確な情報は公式発表や原作をご確認ください。

