こんにちは、ホラー映画大好きなビビりな解説者タケです。
家族と映画を観るとき、幽霊より先に気になるのが「急にベッドシーンが始まらないよね?」という問題だったりしますよね。恋人との鑑賞でも、露骨な性的描写があると妙な沈黙が流れます。映画『きさらぎ駅』については、その心配はほとんどいりません。
ただし、気まずくないことと刺激がないことは別です。出血や人体が破裂するような映像、急に画面へ何かが現れる演出はあります。さらに、観終わると「葉山純子はどうして嘘をついたの?」「結局、光の扉は何だったの?」という疑問が残る作りです。
前半では気まずさと怖さをネタバレ控えめに確認し、後半で結末の真相を解説します。怖いのは好き、でもびっくりするのは苦手という私の目線でお伝えしますよ。
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- 家族や恋人と気まずくなる描写の有無
- 怖さレベルと注意したい怖いシーン
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- 葉山純子の嘘と光の扉の真相
- 「ひどい」「嘘松」といわれる理由
ネタバレ注意
「気まずいシーン」と「怖さレベル」の章では結末を伏せますが、「物語の真相」の章からラストとエンドロール後まで触れます。未鑑賞の方は、怖さの確認後にいったん閉じても大丈夫です。
きさらぎ駅の基本情報
まずは、映画の長さや年齢区分、作風を確認します。ここを押さえると、正統派の心霊映画とは少し違う作品だと分かり、鑑賞後の「思っていたのと違った」を避けやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | きさらぎ駅 |
| 公開日 | 2022年6月3日 |
| 上映時間 | 82分 |
| 映倫区分 | G |
| 監督 | 永江二朗 |
| 脚本 | 宮本武史 |
| 主な出演 | 恒松祐里、本田望結、莉子、佐藤江梨子 |
| 配給 | イオンエンターテイメント/ナカチカ |
公開日や上映時間などは、映画.comの作品情報で確認できます。また、映画倫理機構の審査作品情報でも本作はG区分です。ただし、Gは誰でも鑑賞できる区分であって、すべての子どもが怖がらないという保証ではありません。
ネタバレなしのあらすじ
大学で民俗学を学ぶ堤春奈は、卒業論文の題材として、ネットで語り継がれる都市伝説「きさらぎ駅」を選びます。調査を続けた春奈は、元の投稿者「はすみ」とみられる葉山純子にたどり着き、本人から異世界で起きたことを聞き出しました。
純子の話は、終電、存在しないトンネル、無人駅、正体不明の怪異という悪夢の連続。普通なら「怖かった」で帰るところですが、好奇心に火がついた春奈は、純子が偶然踏んだ手順を再現します。そうして研究対象だった都市伝説へ、自分から足を踏み入れてしまう物語です。
前半は純子の体験を一人称視点で追い、後半はその体験を知った春奈が同じ場所を進みます。一度見た場面の意味が、二度目でがらりと変わる構成が本作の大きな見どころ。上映時間も82分なので、長い前置きに耐えるタイプの映画ではありません。

先に結論を知りたい人へ
キス、性行為、ベッドシーン、裸など、家族や恋人と観て気まずくなる性的描写は基本的にありません。恋愛が物語の中心でもなく、男女がべたべたする場面も見当たりません。その意味では、リビングで再生しやすい作品です。
怖さは、ホラーをよく観る人なら5段階中2.5、ビビりな人なら3くらいが一般的な目安かなと思います。幽霊の気配で眠れなくなるような重たいJホラーではなく、急な出現と大きな音、一人称視点の臨場感で驚かせる異世界脱出ものです。
タケの結論
性的な気まずさはほぼありません。一方、軽めながら流血、眼球が異常に変形・巨大化するような表現、発火、人体の破裂を思わせる映像があります。小さな子どもと観る場合は、G区分だけで決めず、その子が突然の音や死の表現に耐えられるかで判断してください。
気まずいシーンを確認
ここでは「家族の前で観られるか」を、性的描写、恋愛描写、暴力描写に分けて見ていきます。気まずさの基準は人によって違うため、何が映るのかを具体的に知っておくのがいちばん安心です。

性的な描写は基本的にない
『きさらぎ駅』には、性行為やそれを連想させる場面はありません。下着姿、入浴、着替え、過度な肌の露出もなく、性的な会話で笑いを取る作品でもないです。キスシーンさえないので、親子で観ていて視線の置き場に困るような瞬間は、まずないでしょう。
若い男女のグループは登場しますが、描かれるのは仲間内のいら立ちや乱暴な態度です。恋愛を深掘りする時間はほぼなく、異世界から逃げることが中心。衣装や会話まで気になる方は、映画『きさらぎ駅』公式サイトの予告も確認してください。
恋愛より人間関係が怖い
家族鑑賞で別の意味の気まずさがあるとすれば、登場人物同士の怒鳴り合いや身勝手な行動です。岸翔太は高圧的で、同行者を怖がらせます。春奈も後半になると、危険を回避するために先回りし、ためらいの少ない行動へ出ました。
ここはラブシーンではなく、「この人、そこまでやる?」と家族で顔を見合わせるタイプの空気。その過剰さが後半の速度と笑いを生み、脱出ゲームの操作役として見ると妙に頼もしいんですよ。
◆タケのワンポイントアドバイス
性的なシーンを避けたい人にはかなり観やすい一本です。ただ、怒鳴り声やパニック状態の人物が苦手なら、音量を少し控えめにすると楽になります。一人称視点で画面も動くため、乗り物酔いしやすい人は部屋を明るくし、画面から距離を取るのがおすすめですよ。
グロ描写には注意が必要
性的描写がなくても、暴力と怪異による死はあります。ナイフを使う場面、目や顔が異常に変形する表現、血管のようなものが体へ迫る映像、人物が燃える描写、体が破裂するような表現などです。傷口を長時間じっくり見せる残酷映画ではありませんが、突然なので身構えにくいところがあります。
| 描写 | 有無 | 目安 |
|---|---|---|
| キスやベッドシーン | なし | 気まずさはほぼなし |
| 裸や下着 | なし | 家族鑑賞でも安心しやすい |
| 恋愛中心の会話 | ほぼなし | 恋愛映画の要素は薄い |
| 流血や刃物 | あり | 苦手な人は注意 |
| 人体破壊 | あり | CG感はあるが突然映る |
| 怒鳴り声 | あり | 音に敏感な人は注意 |
怖さレベルを詳しく解説
『きさらぎ駅』の恐怖は、静かな部屋の奥に幽霊が立っている怖さより、暗い通路をゲーム内で走る怖さに近いです。ここでは、びっくり、後味、残酷さ、映像の揺れという四つの方向から見ていきます。

怖さは五段階で二・五
私の目安では、ホラー経験者にとって5段階中2.5です。ビビりな人なら3くらい。あくまで一般的な目安で、突然の音が苦手なら数字はもう少し上がります。逆に、残酷映画を平気で観る人には2を下回るかもしれません。
怖さが際立つのは前半です。純子の視界を借りるため、観客は画面の外を確認できません。横を向くと誰かがいたり、逃げ道から怪異が来たりする感覚が、ビビりにはじわじわ効くんですよね。
ところが後半では、春奈が純子から展開を聞いているため、同じ危険へ先回りして対処します。恐怖映画だったはずが、攻略情報を持った二周目のゲームへ変身。怖さは少し下がり、代わりに「次はどう切り抜ける?」という面白さが前へ出てきます。
特に怖いシーンはどこか
ネタバレを抑えて言うと、無人のホームで周囲を探る場面、暗い線路を歩く場面、正体不明の老人に追われる場面が怖さの山です。遠くから聞こえる太鼓、誰もいないはずの場所に混じる声、いつの間にか距離を詰める人影も不安を誘います。
視覚的にきついのは、怪異に襲われた人物の目や体に異変が起きる場面です。血管のような筋が走り、そのあと一気に破裂する演出があります。画面いっぱいに内臓を見せ続けるわけではないものの、びっくりと人体破壊が同時に来るため、苦手な方は顔をそらす暇がないかもしれません。
ジャンプスケアは複数ある
突然の登場や大きな効果音で驚かせる、いわゆるジャンプスケアは複数あります。一人称視点では人物がカメラのすぐ近くへ入ってくるため、音量が大きいほど驚きも増します。イヤホンで深夜に観ると、怖さレベル2.5という数字より怖く感じるはずです。
ただし、息苦しさが延々と続く作りではありません。後半には笑える間も入り、観終わったあとに結末を誰かと話したくなるタイプでしょう。
一人称視点は酔いに注意
怖さとは別に気をつけたいのが画面酔いです。永江二朗監督はインタビューで、一人称視点の場面を基本的にワンカットで撮ったことや、主人公の目線を一定の画角で表す難しさを語っています。詳しい撮影方法は、永江二朗監督のインタビューで確認できます。
走る、振り返る、倒れる動きも観客の視界として伝わります。気分が悪くなったら我慢せず一時停止し、視聴距離を広げるか、部屋を明るくしてください。
映像の感じを一言で表すなら、怖い話を聞く前半と、攻略動画を見る後半の組み合わせです。ねっとりした心霊恐怖を求める人より、異世界、ループ、脱出ゲームが好きな人に合います。
物語の真相をネタバレ解説
ここからは結末まで完全にネタバレします。本作の仕掛けは、純子の回想を事実だと思って観客も春奈も受け入れるところから始まっています。ところが、決定的な部分だけが入れ替えられていました。

純子の体験と明日香の選択
葉山純子は異世界へ迷い込み、宮崎明日香たちと行動します。次々と怪異に襲われるなか、純子と明日香は最後に光る扉へ到達しました。純子が春奈へ語った話では、明日香が先に扉へ入ったものの、扉が赤く染まり、明日香は消滅したように見えます。そのあと純子だけが現実へ戻ったとの説明でした。
明日香は、どんなときも自分に恥じる行いをしない人物として描かれています。危険な状況でも誰かを助けようとし、最後の局面でも純子を優先する性格です。だから実際には、明日香が純子を先に光の扉へ行かせたと考えるのが自然でしょう。
春奈は同じ世界を攻略する
春奈は、電車で寝過ごして往復し、終電へ乗るという純子の行動をなぞります。すると、純子が出会ったのと同じ乗客が現れ、同じような危険が始まりました。異世界では彼らの記憶が初期状態に戻り、出来事が繰り返されているとみられます。
ただ、春奈は純子から先の展開を聞いています。誰が問題を起こすか、どこで怪異が来るか、車の運転役が必要になることまで知っている状態です。そのため、危険人物を早めに排除し、罠だと知っている相手を殴り倒し、ぐいぐい先へ進みます。
ここがゲームを最短で終わらせるRTAのようだといわれる理由です。しかし、情報をくれた純子が嘘を混ぜていたため、春奈は最後の選択だけを読み違えます。
光の扉に隠されたルール
光の扉は、先に入った人を殺す罠ではありません。最初に通った一人を現実へ帰す出口だったと読み取れます。純子の話では明日香が先に入り、純子が帰還しましたが、それは順番を逆にした説明でした。

春奈は「先に入ると犠牲になる」と信じているため、明日香を扉へ押し込み、自分が残ることで生還しようとします。表向きは明日香を助けるようにも見えますが、春奈の狙いは逆。ところが扉の本当の働きにより、最初に入った明日香が現実へ戻り、春奈が異世界へ取り残されます。
純子は、春奈が最後に自分の命を優先する可能性まで読んでいたのでしょう。春奈が無条件に明日香を助ける人物なら、この罠は成立しません。
葉山純子はなぜ嘘をついたか
純子の目的は、異世界に残してきた明日香を現実へ帰すことです。自分を先に逃がしてくれた教え子への恩と罪悪感を抱え、異世界へ行きたがる春奈を身代わりに選びました。そのため、行き方は正しく教え、帰り方の核心だけを反対に伝えたわけです。
ここで純子を単純な悪人にすると、本作の後味を取り逃がします。明日香を救いたい気持ちは本物であり、結果だけ見れば長く囚われていた少女を帰還させました。しかし、その救出に無関係な春奈の人生を使っています。善意と身勝手さが同じ人の中に並んでいる点こそ、怪異より生々しい恐怖です。
一方の春奈も、純粋な被害者だけではありません。未知への好奇心から自分で異世界へ行き、道中では仲間を助けながらも、最後は明日香を先に扉へ入れて自分が帰ろうとします。誰かを救いたい純子と、自分が助かりたい春奈。二人の望みが、嘘を介して残酷にかみ合った結末です。

◆タケのワンポイントアドバイス
私はこの映画でいちばん怖いのは、追いかけてくる老人より純子の計画だと思います。大切な一人を救うためなら、会ったばかりの一人を差し出せるのか。あなたなら純子を責めますか、それとも少しだけ気持ちが分かってしまいますか。答えがすぐ出ないところに、ラストの嫌な余韻があります。
ラストが示す終わらない循環
明日香が戻ったことで、純子の計画はいったん成功します。しかし、純子と春奈の会話を聞いていた姪の凛が、同じ手順を試してしまいました。エンドロール後、電車内にはおなじみの乗客とともに、明日香の代わりとなった春奈の姿があります。
これは、少なくとも今回、帰還した明日香と入れ替わるように春奈が異世界の乗客へ組み込まれたことを示す場面です。ただし、「一人が出れば必ず別の一人が置き換わる」という普遍的なルールなのかは、前作だけでは断定できません。助かった明日香、残された春奈、事情を知らず入ってくる凛。純子は一人を救えても、きさらぎ駅そのものを終わらせたわけではありません。

なお、2025年6月13日には続編『きさらぎ駅 Re:』が公開されました。公式サイトでは、前作から3年後、帰還した明日香が春奈たちを救うため再び異世界へ向かう物語だと紹介されています。前作のラストの先が気になる方は、『きさらぎ駅 Re:』公式サイトで作品情報を確認できます。
元ネタは実話か嘘松か
映画の元になった「きさらぎ駅」は、実在が確認された駅や公的な行方不明事件ではありません。匿名掲示板の実況形式から生まれ、読者が書き込みを見守ることで育ったネット怪談です。
二〇〇四年の投稿が始まり
始まりは2004年1月8日の深夜。当時の匿名掲示板「2ちゃんねる」に、「はすみ」と名乗る人物が、電車に乗っていたら見知らぬ「きさらぎ駅」へ着いたと投稿しました。駅員がいない、周囲に人家が見当たらない、遠くで太鼓の音がするなど、状況は書き込みによって少しずつ伝えられます。
読者は、駅から出ないほうがいい、線路を歩くのは危ないとリアルタイムで助言しました。しかし投稿者は、片足のない老人、トンネル、車に乗せてくれる男性と遭遇し、やがて書き込みが途絶えます。完成した怪談を読むのではなく、今まさに迷っている人と会話する形だったことが、不気味さを何倍にもしました。
続編の公式サイトでも、2004年1月8日に「はすみ」と名乗る女性が匿名掲示板へ投稿したことをきっかけに広まったネットミームだと説明されています。映画はこの骨格を借りつつ、登場人物、反復する異世界、光の扉などを加えた映像作品です。
実在を裏付ける証拠はない
現時点で、きさらぎ駅が実在すると証明する客観的な資料は確認されていません。駅の所在地、運営する鉄道会社、時刻表、公的な捜査記録など、現実の駅や事件として確かめるための情報がないからです。投稿者が本当に失踪したと公的に確認された事実もありません。
元の投稿には遠州鉄道を思わせる地名や経路が含まれていますが、実在する路線が登場することと、異世界駅が存在することは別問題です。現実の場所を少し混ぜるのは、怪談へ手触りを与える昔からの方法でもあります。
そのため、現実の事件として確認された話ではなく、実話として扱うことはできません。遠州鉄道の公式サイトも、きさらぎ駅を「実際には存在しない鉄道駅」と説明しています。一方、投稿者本人が創作だったと明かした確認可能な一次資料も見当たらないため、「完全な嘘だと確定した事件」ともいえません。正確には、真偽を検証できる証拠のない、実況形式のネット怪談です。
嘘でも都市伝説の価値はある
「嘘松なら価値がない」と切り捨てるのは、少しもったいない気がします。怪談は裁判の証拠ではなく、聞いた人の想像に居場所を作る物語です。きさらぎ駅には、終電、寝過ごし、無人駅、現在地が分からない不安という、誰でも一度は恐怖を覚えそうな材料がそろっています。
しかも、掲示板の住人が助言しても投稿者を救えないという構造が秀逸です。画面の向こうにいる相手へ言葉は届くのに、手は届かない。今のライブ配信にも通じる距離感であり、2004年のネット文化から生まれたからこその怖さがあります。

映画がひどいといわれる理由
検索すると「きさらぎ駅 映画 ひどい」という言葉が出てきます。しかし、批判の多くは作品の狙いと観客の期待がずれた結果でもあります。どこが不満につながり、逆にどこを楽しむ作品なのかを見てみましょう。
CGの作り物らしさ
最も目につきやすいのはCGです。人物の発火や破裂、地面を走る異様な筋などは、現実と見分けがつかない映像ではありません。合成の境目や動きに手作り感があり、恐怖の場面なのに笑ってしまう人もいるでしょう。
映画.comのレビューにも、CGの安っぽさを指摘する声がある一方、B級感を含めて面白い、ゲーム実況のように楽しめたという感想があります。レビュー点数や件数は投稿によって変動するので固定的な評価ではありませんが、映画.comのレビュー一覧を見ると、怖さより笑いやゲーム感覚を挙げる受け止め方が実際に確認できます。
大作並みの視覚効果を期待すると不満になりやすい反面、生々しさが控えめで、残酷な発想のわりに観やすいという利点もあります。
大げさな演技が笑いを誘う
若者グループの怒鳴り声、混乱した反応、怪異から逃げる動きには、意図的と思える大きさがあります。自然な会話劇を期待すると、人物が記号的に見え、「こんな反応をする?」と冷めるかもしれません。
後半では春奈の迷いのない行動に周囲が引くため、演技の大きさが笑いへ転じます。前半と同じ場面なのに、主人公の反応だけが違う。その落差を楽しめると、大げささは欠点ではなく仕掛けに見えてきます。
途中からRTAのようになる
正統派ホラーを求めた人が最も戸惑うのは、後半のジャンル変更でしょう。前半で純子が苦労した危険を、春奈は答えを知った状態で次々と処理します。怪異におびえるより、危険人物を先に止め、必要な道具や人員を確保する展開です。
これはRTAを見ているような感覚を生みます。恐怖の余韻は途切れますが、同じ出来事を二度見せながら退屈させない工夫としては大胆です。
一周目で失敗した場面を、知識を持った二周目で切り抜ける。ところが最後には、攻略本そのものに嘘があったと分かります。この構造を楽しむ映画だと分かれば、「ひどい」から「よく考えてある」へ感想が変わる人もいるはずです。
正統派ホラーとは方向が違う
元ネタの投稿には、夜中に一人で助けを求める孤独と、返事が途絶える余白があります。その不気味さを期待して映画を観ると、にぎやかな登場人物、派手な死、行動派の主人公に肩透かしを感じます。
本作は静けさで追い詰めるJホラーというより、ホラーを使った異世界脱出エンターテインメントです。監督自身も一人称視点と音による体感を重視しており、元投稿を厳密に再現するより、映画として動かす方向を選んでいます。
怖い映画を期待すると評価が下がり、アイデア重視のB級脱出ものとして観ると評価が上がりやすい。この前提の違いが、「ひどい」と「面白い」が同時に並ぶ理由かなと思います。
それでも評価したい面白さ
私が評価したいのは、前半の情報を後半で使い直す構成です。同じ人物、同じ場所、似た事件を繰り返しながら、視点と知識量を変えることで意味を反転させています。低予算感をごまかすのではなく、繰り返しそのものを娯楽へ変えました。
CGや演技の好みは分かれます。それでも、完成度が低いだけの失敗作と一刀両断するのは公平ではないでしょう。怖さより仕掛けを楽しみ、ツッコミながら観る余地を受け入れられるなら、82分を軽快に駆け抜ける一本です。
きさらぎ駅が向いている人
最後に、どんな気分の日に選ぶと満足しやすいかをお伝えします。同じ作品でも、ひとりで身構えて観るか、友達と感想を言い合うかで印象はかなり変わります。

楽しみやすい人の特徴
都市伝説、異世界、ループものが好きな人には相性が良いです。ゲーム実況を眺めるのが好きな人、少しチープな映像も作品の味として笑える人、驚かされても後に引きずらないホラーを探している人にも向いています。
家族や恋人と観ても性的描写の心配はほぼなく、「純子を許せる?」と鑑賞後の会話が続きます。二人以上でツッコミを入れながら観るほうが、本作の温度に合うかもしれません。
逆に、元の掲示板投稿の静かな怖さを忠実に味わいたい人、現実そのものに見えるCGを求める人、登場人物の心理を長く積み重ねるドラマが好きな人には合わない可能性があります。画面酔いしやすい人も、一人称映像には注意してください。
子どもと観るときの判断
本作は映倫Gですが、流血や人体の異変がゼロではありません。年齢だけで「大丈夫」と決めるより、普段どの程度の怖い映像を観られるかで考えてください。アニメの怪物でも眠れなくなる子なら、無理に見せないほうが安心です。
一緒に観るなら、先に「びっくりする音と作り物の血があるよ」と伝え、怖くなったら止められる環境にしましょう。鑑賞中に体調が悪くなった場合も中断してください。年齢区分の正確な意味は映画倫理機構、作品や続編の最新情報は各公式サイトをご確認ください。個々の年齢や状態に応じた最終的な判断が必要な場合は、保護者や適切な専門家にご相談ください。
きさらぎ駅のよくある質問
鑑賞前後に出やすい疑問へ、短く答えます。結末に関する回答も含むため、未鑑賞の方はネタバレに注意してください。
きさらぎ駅のよくある質問(FAQ)
Q1. 『きさらぎ駅』に気まずいシーンはありますか?
A. キス、ベッドシーン、裸など、家族や恋人と観て気まずくなる性的描写は基本的にありません。ただし、流血、刃物、人体の破裂を思わせる映像、怒鳴り声はあるため、残酷な表現が苦手な方は注意してください。
Q2. 『きさらぎ駅』の怖さレベルはどのくらいですか?
A. 一般的な目安として、ホラー経験者なら5段階中2.5、ビビりな人なら3くらいです。静かな心霊恐怖より、突然の音や出現、一人称視点によるゲーム風の臨場感が中心なので、ジャンプスケアが苦手な人はもう少し怖く感じるかもしれません。
Q3. 葉山純子はなぜ春奈に嘘をついたのですか?
A. 異世界に残った宮崎明日香を救うためです。純子は光の扉へ入る順番を反対に伝え、春奈が自分の生還を望んで明日香を先に入れるよう仕向けました。明日香への思いは本物ですが、春奈を身代わりにした身勝手さも残ります。
Q4. 光の扉を通ると誰が現実へ戻れますか?
A. 映画の結末からは、最初に光の扉を通った一人が現実へ戻れると読み取れます。純子の回想は順番が逆で、過去は純子、春奈が訪れたときは明日香が先に通ったため帰還しました。あとに残った春奈は異世界の循環へ組み込まれます。
Q5. きさらぎ駅は実話ですか、それとも嘘松ですか?
A. 2004年の匿名掲示板への投稿から生まれた都市伝説で、駅の実在や投稿者の失踪を裏付ける客観的な証拠は確認されていません。実話として確認された話ではありませんが、投稿者本人が創作だったと明かした確認可能な一次資料も見当たりません。真偽不明の実況形式だったからこそ、多くの人を引き込むネット怪談になりました。
きさらぎ駅の解説まとめ
映画『きさらぎ駅』は、性的な気まずさを心配せず観やすい一方、流血や人体破壊、突然驚かせる場面を含みます。怖さは控えめですが、音と一人称視点に敏感な人には油断できません。
- 性的描写:キス、ベッドシーン、裸は基本的になし
- 怖さ:一般的な目安で5段階中2.5、ビビりなら3程度
- 真相:最初に光の扉を通った一人が現実へ帰る
- 純子の嘘:春奈を身代わりにして明日香を救うため
- 元ネタ:2004年の匿名投稿で、実在を示す証拠はなし
- 評価:B級感とゲーム風の攻略を楽しむ作品
「映画がひどい」という感想につながるCGや演技は、確かに好みを選びます。しかし、前半の失敗を後半の攻略へ変え、最後に情報提供者の嘘でひっくり返す構成は見事です。正統派のJホラーとしてではなく、ツッコミも含めた異世界脱出エンターテインメントとして観ると、本作の面白さが見えてきます。
そして最後に残るのは、怪異の正体より人間の選択です。明日香を救うため春奈を犠牲にした純子を、あなたは許せるでしょうか。気軽に観られる82分の中に、意外と答えにくい問いを置いていく映画でした。
※本記事は公開情報と作品内容をもとに作成していますが、解釈や感じ方には個人差があります。

